研究実績の概要 |
当研究室は転写因子 Egr2を特異的に発現するCD4陽性CD25陰性LAG3陽性制御性T細胞(LAG3+ Treg)を同定している。本課題において本特別研究員は、LAG3+ Tregによる液性免疫制御メカニズムの解明を目的とした。Egr2はLAG3+ Tregのマスター制御因子として機能するが、Egr2の機能はEgr3に補完されることが想定されており、Egr2の機能解析にはT細胞特異的ダブルノックアウト(Egr2/3 DKO)マウスが必要であった。初年度においてT細胞特異的Egr2/Egr3ダブルノックアウト(Egr2/3)マウスを作製し、Egr2/3 DKOマウスは早期よりループス様症状を発症することを明らかにした。第2年度目はEgr2/3 DKOマウスにおけるLAG3+ Tregの機能解析を行い、LAG3+ TregはEgr2/Egr3依存性にTGF-β3を高産生し、TGF-β3を介して液性免疫を制御することを明らかにした。最終年度はEgr2/Egr3がLtbp-3の発現誘導を介してTGF-β3分泌を制御していることをEgr2 KO, Egr2/3DKOマウスおよびLtbp3 siRNAを用いた実験にて証明し、Egr2/Egr3を介した液性免疫制御システムの全体像を明確にした。本特別研究員は上述の当初の目標を十分に達成しており、期待通り研究を完了した。
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