研究課題/領域番号 |
13J04256
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
丹羽 祐貴 慶應義塾大学, 理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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キーワード | C-mannosylation / 糖鎖修飾 / R-spondin1 / 質量分析 |
研究概要 |
本年度は、R-spondin1 (Rspo1)のC-mannosylationの役割について解析することを目的としていた。Rspo1は、Wntシグナルを増強するWntアゴニストとしての活性を有している、分泌型タンパク質である。Wnもシグナルは、癌悪性化に関与することが知られているシグナルであるため、Rspo1は癌悪性化因子であることが示唆されている。また、C-mannosylationは糖鎖修飾の一種であるが、他の糖鎖修飾とは異なり、未だその機能はほとんど知られていない。Rspo1にはTrp^<153>及びTrp^<156>の2カ所のC-mannosylation予測部位があった。そこで、Rspo1がC-mannosylationされているか否か、及びその役割について解析を行った。まず、Rspo1遺伝子にmyc及びhis_6のタグを付加したベクターを作製し、Rspo1の過剰発現細胞を作製した。次に、その過剰発現細胞よりリコンビナントRspo1を粗精製し、質量分析法を用いてC-mannosylationの有無を確認することとした。Rspo1は分泌型タンパク質であるため、細胞培養上清より粗精製することが適切であると考えられた。しかし通常の培養下では、Rspo1の分泌は一切確認されなかった。以前の報告でRspo1は細胞外のヘパラン硫酸に結合していることが示唆されていた。そこで培地中にヘパリンを加えたところ、Rspo1を培地中に分泌させることに成功した。そこで、Rspo1過剰発現細胞を大量培養し、培養上清よりNi-NTA agaroseを用いてRspo1を粗精製した。粗精製時はヘパリンを加えたことにより、Ni-NTAへのアフィニティーの減少が確認されたが、種々条件検討の結果、尿素を加えてタンパク質を変性させることでNi-NTAへのアフィニティーが上昇し、精製に成功した。そのサンプルを質量分析により解析したところ、Rspo1はTrp^<153>及びTrp^<156>の2カ所でC-mannosylationされていることが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
細胞培養上清からの精製はヘパリン処理により困難であったがその精製に成功し、さらにRspo1が2カ所共にC-mannosylationされていることを証明出来たため。
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今後の研究の推進方策 |
Rspo1は分泌型タンパク質であるため、C-mannosylationが分泌に与える影響を検討する。また、Wntシグナルアゴニストとしての活性も有しているため、活性に与える影響も評価する。さらに、Rspo1の2カ所のC-mannosylationを行っている責任酵素の同定を試みる。
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