研究課題/領域番号 |
13J04258
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
廣川 高史 東北大学, 農学研究科, 特別研究員(DC1)
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キーワード | pestaloquinol / cytosporin / epoxyquinol / 血管新生阻害 |
研究概要 |
植物内生子嚢菌Pestalotiopsis sp.より単離されたプレニル化エポキシキノール類であるpestaloquinol AおよびBは、HeLa細胞に対する細胞毒性を有することが報告されているが、イソプレン単位を欠く類似天然物 epoxyquinol類には血管新生阻害活性が知られていることから、pestaloquinol類の詳細な活性の評価を行うことを目指し、全合成研究を実施している。 予想生合成経路を模倣した二量化反応によるpestaloquinol類の全合成を達成すべく、まずは単量体であると考えられているcytosporin Dの合成を試みた。当初立案した二段階のステージに分けた合成計画、すなわち①Sharpless不斉ジヒドロキシ化反応を用いたピラン環部位の構築②Diels-Alder反応による骨格構築に基づいて実際に合成を行ったところ、これまでにcytosporin Dの全炭素骨格を有する化合物を得ることができた。しかしながら本合成ルートの鍵となるSharpless不斉ジヒドロキシ化のエナンチオ選択性およびDiels-Alder反応のジアステレオ選択性がともにあまり高くなかったため合成計画の一部見直しを行ったところ、後者について良好な反応を見出した。 第一段階の不斉ジヒドロキシ化のエナンチオ選択性については、反応に用いる不斉触媒や溶媒を種々検討するなどの改善を試みたが、良好な結果を得るには至らなかった。そのため、文献既知であり、かつ高い光学純度で調製可能な化合物を経由する方法を考案し、現在合成を進めている。第二段階のDiels-Alder反応ではアクロレインをジエノフィルとして用いたところいくつかの化合物の混合物を与え、ジアステレオ選択性のみならず、収率も低いことが問題となった。そのため反応に用いるジエン中間体の構造およびジエノフィルとして使用する試薬について検討を行った結果、単一の異性体として付加環化体を得る条件を見出すことができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
これまでに合成標的の単量体に相当する重要中間体の調製に成功したが、全合成には至っていない。本合成を高エナンチオ・ジアステレオ選択的合成にすべく合成経路の修正を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
現在、高エナンチオ選択的合成を達成すべく合成経路の初期段階の修正を行っており、もう少しでルートが繋がる段階に来ている。また本合成の鍵となる付加環化反応による単量体骨格の構築についても検討を重ね、高ジアステレオ選択性を実現できる反応を見出していることから、今後全合成達成に向けた官能基変換を検討していく。
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