研究概要 |
自律型ワイヤレスセンサーネットワークの小型センサー向け電源として、ピエゾ電気2重層エレクトレットを用いた静電誘導型の振動発電素子を提案し、その発電量の向上および信頼性の評価を行った。 1. 発電量とピエゾ電気2重層エレクトレットの表面電荷密度および厚さの関係の調査発電量の向上には、ピエゾ電気2重層エレクトレットの表面電荷密度および厚さの増加により外部電界を強める方法が有効であることが理論から予想された。そこで、強誘電体材の分極電界強度と厚さを変え、その表面電荷密度および厚さと発電量の関係を調査した。分極電界強度は2kV/㎜および4kV/㎜の2条件、厚さは0.1, 0.5, 1.0㎜の3条件を調査した。予想の通り, 表面電荷密度および厚さの増加により外部電界は強まり, 振動発電量は外部電界強度に対して指数関数的に増大することが分かった. 更に, 縦型振動発電評価(加振加速度0.5G, 周波数20Hz)より、表面電荷密度-12mC/m^2、厚さ1mmのピエゾ電気2重層エレクトレットから従来のポリマーエレクトレットより3倍高い発電密度が得られた。 2. ピエゾ電気2重層エレクトレットの材料種と表面電荷密度の経時変化の関係の調査従来のポリマーエレクトレットと比較して、ピエゾ電気2重層エレクトレットは表面電荷密度の経時劣化が大きく低い信頼性が課題であった。原因として、材料中の欠陥から生成されるキャリアによる外部電界の遮蔽、ドメイン壁の移動による脱分極の2点が想定された。そこで、PMN-PT単結晶材およびPZT系ハード材からピエゾ電気2重層エレクトレットを作製し、表面電荷密度の経時変化を調査した。その結果、ハード材の表面電荷密度の経時劣化が小さく、より高い信頼性を示した。表面電荷密度の経時劣化は主としてドメイン壁の移動による脱分極であり、ハード材の適用が有効であることが分かった。
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