ゲージ/重力対応は、物性物理の超伝導のような強相関電子系(クーロン相互作用が強い電子系)を解析するために利用されてきました。本研究では、ゲージ/重力対応とブレーン交差系(DpブレーンとDqブレーンが斜めに交差している系)を応用して強く相互作用する量子多体系や、強相関電子系の物性物理を理解するための研究をしました。ゲージ/重力対応とブレーン交差系を用いると、重力理論に導入されたアンチドジッター空間に巻きつくDブレーンと端状態のようなゲージ理論のある境界に住む理論の間の双対性が、一般にKarch-Randallによって実現されます。 本研究では特にゲージ/重力対応とブレーン交差系を用いて、Chern-Simonsレベルを変える境界面をもつ3d SU(N) Yang-Mills-Chern-Simonsを研究しました(arXiv:1601.00525 [hep-th])。模型は、ⅡB型超弦理論におけるD3-D7系になっています。その重力双対は、境界面にそってAdS境界に取り付けられたプローブのD7ブレーンをもつAdSソリトン背景によって与えられます。我々はホログラフィとホログラフィック繰り込みを用いて、外場のソースと結合した境界面の理論の自由エネルギーを求めました。それから、これらの境界面に関連する演算子の相関関数を計算しました。我々は、境界面の距離や温度を変化させながら興味深い相転移を見出しました。それから、分数量子ホール効果や2次元QCDの物理についても関連性を見出しました。
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