研究課題
平成26年度は前年度に行ったタンパク質改変餌給餌実験の精査を行った。さらに3大栄養素に着目し、炭水化物および脂質配合バランス改変餌を用いて短日条件における情動関連行動の改善に着手した。短日条件のマウスで見られる脳内の5-HT含量低下を栄養学的に補完するためには、血中のL-Trp/LNAAsが重要になる。日長や炭水化物摂取が影響するとインスリンなどの働きによりLNAAs中のBCAAが筋肉に取り込まれる。これにより血中のL-Trp/LNAAsが上昇し、L-Trpの脳内移行が増加し、脳内の5-HT含量が増加する流れが考えられる。このことから日長は筋肉や脂肪などの体組成に影響することが考えられる。そこで筋肉の組成について検討を行うため、腓腹筋を採取しSDS-PAGE法により筋繊維型を解析した。その結果、タンパク質改変餌による影響は見られなかったが、短日条件で速筋型の増加がみられた。そのため日長はマウスの筋組成に影響を及ぼすことが示唆された。次の実験として3大栄養素のタンパク質以外の炭水化物、脂質に着目して実験を行った。炭水化物および脂質の実験については配合割合や質を変えた餌を作成し、マウスに給餌した。その結果、どちらも短日条件における情動行動の落ち込みおよび脳内5-HT含量低下の改善効果を示さないことがわかった。これらの結果から3大栄養素のうちタンパク質のみ、情動の光周性を制御可能であることが示唆された。タンパク質改変餌給において短日条件においてマウスの体重、精巣上体脂肪が長日条件に比べて増加していた。そのため日長はマウスの脂質代謝にも影響を与えることが示唆される。そのため、マウスの血漿中における遊離脂肪酸(NEFA)を測定したところ、長日条件に比べ短日条件でNEFAが増加していた。これより、日長はマウスの筋線維型や脂質代謝といった体組成にも影響を及ぼすことがわかった。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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