研究課題/領域番号 |
13J04426
|
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
JOE Yongjoon 九州大学, システム情報科学府, 特別研究員(DC1)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | 繰り返しゲーム / 私的観測 / POMDP / 均衡解析 |
研究実績の概要 |
観測にノイズが含まれる私的観測構造において利己的なエージェントが長期間の関係において協力関係を維持可能にするゲームの特性を見出すことを目的とした。 解析の対象となったゲームは、多くのゲームの中でも利己的なエージェントが協力関係を築くことが難しいケースである。 今回は典型的な2人ゲームではなく、例えば(i)行動を起こすものとその影響を受けるものが直接な関係を持たないゲーム(三角ゲーム)(ii) 複数の市場において影響力を持つエージェントによるゲーム(多市場接触)などの様々な異なる形のゲームを分析し、典型的な2人ゲームで得られた結果などと照らし合わせ私的観測構造を持つ繰り返しゲームが持つ特性を見出そうとした。 その結果、未だ不明なところは多くあるけれど、その手がかりを示唆する要素をいくつかの要素を見つけることが出来た。
また、既存の均衡探索アルゴリズムのメモリ使用量を改善すべく、新しい均衡判定の手順を見直し開発・検証した。前年度まで開発されたソルバは既存のものと比べ十分に高速ではあるが、そのメモリ使用量を抑えることが出来ず、特定のケースに関しては判定が難しかった。それに比べ改善した手順を取り入れたソルバの場合、未だに扱いづらい特殊なケースはあるものの、 メモリ使用量における改善は認められた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
より一般的なゲームへの拡張は進んでおり、三角ゲームや他市場接触など様々な形態のゲームについて分析を進めることが出来た。 それに対し、有限状態機械及び私的観測における均衡の特性付けに関してはまだ必要な手がかりが揃わず、後続の研究が必要である。
|
今後の研究の推進方策 |
1・2年目で開発したアルゴリズムを、さらに一般化したゲームの均衡解析からアルゴリズムを検証する。具体的には、三エージェント以上のゲームや、毎期の利得表が確率的に変化するゲームなどにアルゴリズムの適用領域を拡張、効率化を進める。 さらにこれまでの成果を総合し、大規模かつ複雑な現実に近い問題設定における繰り返しゲームの近似的な均衡概念の提案とその近似アルゴリズムを開発する。
|