研究課題
本研究では、長寿遺伝子であるFOXO3aによるテロメラーゼ制御の分子基盤を明らかにするとともに、その結果としてのFOXO3aによる細胞老化抑制の可能性を明らかにすることを目的としており、今回以下のことについて検証した。1. FOXO3aによるhTERT増強の分子基盤FOXO3aによるhTERT転写増強に対するc-MYCの寄与及びその時のhTERTプロモーター領域のエピジェネティック制御の変化を、プロモーターアッセイ及びChIP法により明らかにし、FOXO3aによるhTERT転写増強の分子基盤とその制御に対するc-MYCの寄与を明らかにした。次に、これまでの研究でc-MYCプロモーター上にその存在を見出しているFOXO結合サイトの機能性について、FOXO3aの結合アッセイ及びFOXO結合サイトを破壊した変異型c-MYCプロモーターを用いたアッセイにより検証し、FOXO3aによるc-MYC(転写増強を通じたhTERT転写増強の分子基盤を明らかにした。2. FOXO3aの抗老化能評価ヒト正常線維芽細胞及びレトロウイルス発現系を用い、FOXO3aを安定発現する細胞株を樹立した。当該細胞株を用い、細胞老化マーカーの発現・活性変化を、当該細胞の細胞分裂回数依存的に追跡することで、FOXO3aの抗細胞老化能を評価した。次に、ドミナントアクティブ型FOXO3a (FOXO3aTM)を導入した細胞株を樹立し、各種細胞老化刺激 (酸化ストレス及び炎症サイトカイン)に対する耐性を評価することで、FOXO3aの抗細胞老化能を評価し、抗老化因子としてのFOXO3aの機能性を明らかにした。以上のことから、FOXO3aによるテロメラーゼ制御機構を明らかにすることができ、抗老化因子による抗細胞老化実現の新たな分子基盤を明らかにすることができた。
2: おおむね順調に進展している
申請書に記載した内容通りに遂行出来ているため。
これまで私は、FOXO3aによるテロメラーゼ制御とそれによる抗細胞老化効果について明らかにしてきた。これは抗老化因子による抗細胞老化実現の新たな分子基盤が明らかになったものと考えられる。そこで、今後の推進方策として寿命制御因子として知られるFOXO3aをターゲットとしたアンチエイジング因子の探索を行うこととした。FOXO3aをターゲットとしたアンチエイジング因子探索の例はこれまで知られておらず、食品を含む様々な成分の新規機能性・活性の発見につながりうるものと考えられる。
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Evidence-based Complementary and Alternative Medicine
巻: 2014 ページ: 195305
10.1155/2014/195305.
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