これまでの研究からFOXO3aによるテロメラーゼ制御機構が明らかになり、それに伴う抗細胞老化効果についても明らかにすることができた。そこで今回我々は新たに発見した抗細胞老化因子としてのFOXO3a及び既にこれまでの研究から抗細胞老化因子として明らかになっているSIRT1をターゲットとした新規アンチエイジング因子の探索系の構築及びその機能性の解析を行うことを目的とした。
i)抗細胞老化因子活性化食品の探索系の構築:SIRT1プロモーターにより制御されるEGFP発現ベクター及びFOXO3aの結合エレメント(DBE)により制御されるYFP発現ベクターの構築を行った。これらのベクターをターゲット細胞へ導入し、食品をはじめとした因子を添加後、EGFP及びYFP蛍光強度の変化を検証することでアンチエイジング食品・因子の探索を行う。蛍光強度の検証については、既に研究室に導入済みの全自動細胞機能解析装置イメージングサイトメーターを用いることで行う。
ii)SIRT1活性化因子の探索及び機能性の検証:抗細胞老化因子活性化食品の探索を行う上で、まず我々は皮膚老化に着目し、皮膚細胞への紫外線照射に対するSIRT1のバリア機能について検証することとした。上記ベクターを皮膚上皮細胞であるHaCaT細胞に導入することでHaCaT細胞へ食品サンプルを添加した際にEGFP蛍光強度の変化を検証することでSIRT1活性化食品の探索を行うこととした。今回食品サンプルに関してはネパール産キノコの乾燥粉末を用いた。その結果、一つのサンプルについてSIRT1を有意に活性化させることが明らかとなった。また細胞老化マーカーとして知られるSA-β-Gal、γH2AX、p16、p21、p-p38に対する抑制効果についても検証した結果、今回見出したサンプルがそれぞれに対して抑制効果を持つことも明らかにすることが出来た。
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