研究課題/領域番号 |
13J04608
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
岩田 周介 九州大学, 大学院歯学研究院, 特別研究員(DC1)
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キーワード | 味覚 / 塩味 / 甘味 / アンギオテンシンII / エンドカンナビノイド |
研究概要 |
近年の研究で、我々は体内のNaバランス維持に働くアンギオテンシンIIが神経応答レベルでアミロライド感受性NaチャネルであるENaCに作用し塩味感受性を抑制、甘味感受性を促進するというデータを得ている。 当研究室ではアンギオテンシンII腹腔内投与による塩味応答変化の解析はある程度進んでいる。その一方で甘味応答のメカニズムは不明であることから、その候補としてエンドカンナビノイドのレセプターであるCB1を介した作用に注目し実験を行った。CB1ノックアウトマウス(CB1-KOマウス)を用いた鼓索神経応答解析の結果より、野生型マウス(C57BL6Jマウス : B6マウス)でアンギォテンシンIIの腹腔内投与により認められた甘味増強効果が、CB1-KOマウスでは消失することが認められた。 次に薬理学的にアンギオテンシンIIによる甘味増強効果へのCB1レセプターの関与を確かめるために、B6マウスを用い、アンギオテンシンII腹腔内投与後20分でCB1アンタゴニストであるAM251を腹腔内投与した群と、アンギオテンシンII投与20分後に生理食塩水を投与した群、生理食塩水投与20分後に再度生理食塩水を投与したコントロール群とで鼓索神経応答解析を行った。 その結果、コントロール群に比べ、アンギオテンシンIIを投与した2群では甘味応答の増強が認められたが、AM251をアンギオテンシンII投与後20分で腹腔内投与した群では、アンギオテンシンIIによる増強作用の抑制が認められた。アンギオテンシンIIの投与で認められる塩味応答の抑制効果は、AM251による影響を受けなかった。 また次に、アンギオテンシンIIの受容体であるATIRのアンタゴニストであるCV11974腹腔内投与下での、アンギオテンシンII腹腔内投与群と生理食塩水腹腔内投与群(コントロール)の鼓索神経応答の変化を比較した。 現在、甘味物質であるスクロース及びSC45647で確認を行っているが、CV11974腹腔内投与群では、コントロール群で認められるアンギオテンシンIIによる甘味の増強効果の消失が認められた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初報告した年次計画にあわせ、順調に実験が進んでいるため。
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今後の研究の推進方策 |
アンギオテンシンIIの受容体であるAT1RのアンタゴニストであるCV11974腹腔内投与下での、アンギオテンシンII腹腔内投与群と生理食塩水腹腔内投与群(コントロール)の鼓索神経応答の変化の比較を行う。血清中のアンギオテンシンII及びアルドステロンの、アンギオテンシンII及びAM251腹腔内投与後の変化をELISAを用いて確認する。また、免疫組織化学的手法を用い、味蕾内でのAT1RとCB1Rの共発現を確認する。
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