研究課題
光増感反応を応用した非熱的な心筋アブレーション治療法の基礎検討として、温度変化に対する殺細胞効果の調査、即時的な細胞壊死発生の応答時間、薬剤分布に伴う慢性期の殺細胞効果について調査を行った。溶液温度を17℃と37℃にしたときの細胞外光増感反応による殺細胞効果を調査した。17℃のときと比較して、37℃で有意な殺細胞効果の上昇が見られた。Fluo-4 AMと共焦点顕微鏡を用いた心筋細胞内カルシウムイオン濃度変化の計測を行い、Talaporfin sodium濃度10-30μg/ml、放射照度0.03-0.29W/cm^2、放射照射量10-40J/cm^2で細胞壊死発生応答時間を調査した。細胞壊死発生応答時間はTalaporfin sodium濃度が高い程、放射照度が高い程短くなり、30μg/ml、0.29W/cm2のときに最小で平均209sとなった。放射照射量に対する依存性は見られなかったことから、細胞壊死発生までの応答時間は単位時間あたりの一重項酸素産生量に依存することが明らかになった。一方で、光照射から2時間後にWSTアッセイ法によって死細胞率を計測した結果、死細胞率のTalaporfin sodium及び放射照射量依存性には放射照度による差が見られなかった。臨床応用においては、放射照度によって治療完成までの時間を、放射照射量によって治療効果の深度をコントロール可能であることが示唆された。また、薬剤接触時間の増加に伴う心筋細胞内への薬剤の取り込み及び、反応後24時間後の死細胞率を調査した。細胞内薬剤量は30分後から単調増加し、2時間以降6時間までは収束するように上昇は頭打ちになった。薬剤接触時間が30分以降で、15分以下の場合と比べて、24時間後の死細胞率は有意に上昇した。核の断片化が観察されたことから、これはアポトーシスによるものと予測された。
2: おおむね順調に進展している
本研究の目的は、心筋細胞における細胞外光増感反応による基礎検討として 1)in Vitro実験系での酸素消費及び供給 2)温度変化に伴う殺細胞効果変化 3)即時的な不可逆電気伝導ブロックを実現するための光増感反応施行条件 4)薬剤分布変化に伴う慢性期殺細胞効果変化 5)心筋に対する光増感反応治療のモデル化を行うことにある。本年度は 2)温度変化に伴う殺細胞効果変化 3)即時的な不可逆電気伝導ブロックを実現するための光増感反応施行条件 4)薬剤分布変化に伴う慢性期殺細胞効果変化の検討を進め、成果を得た。
心筋に対する光増感反応治療のモデル化を行う。これまでに取得した細胞実験でのデータを用い、臨床応用する際にあらゆる条件を入力することで治療深度の時間的変化を計算によって取得できるようにすることで、多臓器などへの副作用なく、心筋中の治療深度の制御性の高い、最適な治療条件の導出をめざす。
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