研究課題
本研究では光合成初期過程におけるカロテノイドの振電相互作用と緩和過程のダイナミクスを解明することを目的としている。植物が独自に発達させた光捕集アンテナ系に含まれるカロテノイドは太陽光エネルギーを余すことなく享受するための色調を与える主要因となっている。このカロテノイドのダイナミクスを解明すれば光合成において非常に高効率でエネルギー伝達を行う植物の光捕集から光反応中心への伝達の仕組みを明らかにすることができる。その方法としては時間分解顕微ラマン分光測定を用いる。この研究を実施するために既に使用していた共焦点顕微ラマン分光測定装置を改良して時間分解ラマン分光測定ができるようにする。本研究では、異なる細菌から単離してきた光捕集アンテナを再構成し、人工的に制御された光合成膜を測定する。再構成した光合成膜はバッファー中、およびポリマー中に固定したものを、共焦点顕微鏡を用いて分光測定し、平均と局所的なデータの二種類を得る。光合成細菌の光合成膜の検出を顕微で行うことによって膜内におけるカロテノイドの位置(構造)と機能の関係を、振動分光学を用いて明らかにする。膜内のカロテノイドがどのような構造をしているのかに関する知見を得ることができれば、光合成においてどのような構造をしていることが高効率なエネルギー移動をすることに重要なのかということがわかり、人工光合成の実現に貢献することができる。またこの測定と同時にカロテノイドの吸収スペクトルのシミュレーションを行った。このシミュレーションはラマンスペクトルのデータを用いて行うので、構造の情報をもとに電子構造をシミュレーションしている。吸収スペクトルのシミュレーションから求まった物理量を複数のカロテノイドについて比較することによってカロテノイドの構造において周辺環境と相互作用を受けやすいのはどの部分なのか、ということを定量的に検討することができる。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Photosynthesis Research
巻: 121 ページ: 69-77
10.1007/s11120-014-0011-y
http://www.sci.osaka-cu.ac.jp/phys/PBM/index-j.html