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2014 年度 実績報告書

ホモトピー論の、グラフのクロマティック数の計算への応用

研究課題

研究課題/領域番号 13J04699
研究機関東京大学

研究代表者

松下 尚弘  東京大学, 大学院数理科学研究科, 特別研究員(DC1)

キーワードグラフ / 彩色数 / 近傍複体 / 箱複体
研究実績の概要

近傍複体とはグラフに対し定義される単体複体であり, そのトポロジーがグラフの彩色数に密接に関係することは, LovaszのKneser予想解決以来, 広く認知されている. 箱複体はグラフに対して定義されるZ_2空間であり, その底空間は近傍複体にホモトピー同値である. 箱複体によってグラフの彩色数だけでなく広くグラフ準同型の存在問題にトポロジーを応用する枠組みが与えられた.
本年度の研究においては, 箱複体とグラフのクロネッカー二重被覆との関係を明らかにした. 具体的には孤立点を持たないグラフGとHのクロネッカー二重被覆が同型であることと, 箱複体が半順序集合として同型であることが同値であることを示した. このことから箱複体がZ_2半順序集合として同型であることと元のグラフが孤立点を除いて同型であることは同値であることが導かれる. 応用として, 箱複体が半順序集合として同型であるにも関わらず, 彩色数が異なる例を構成することができた.
このことは箱複体のZ_2半順序集合としての構造を見れば, グラフの(孤立点を除いての)情報が完全に復元されることを意味する. 一方で, 箱複体がZ_2ホモトピー同値であっても, 彩色数の異なるグラフが存在することを証明した. これはグラフのある種の変形が, 箱複体のZ_2トポロジーを変えないことを考察することで得られる. 一つの変形は以前から知られていた「折り畳み」というものだが, この変形は彩色数を変えない. 一方で私が導入した変形は彩色数を変えることがある.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

一年目において, 研究目的の大部分は遂行されているから.

今後の研究の推進方策

グラフ準同型f : G→Hで, 箱複体の間のZ_2ホモトピー同値を誘導するようなものを弱同値とするようなモデル構造を導入する. そしてその局所化(ホモトピー圏)が, Z_2空間のモデル圏とQuillen同値になることを示す. これによりグラフの圏の箱複体のZ_2ホモトピー型から得られるグラフの情報の限界がより正確に記述できる.

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2015 2014

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 5件)

  • [雑誌論文] Answers to some problems about graph coloring test graphs2015

    • 著者名/発表者名
      Takahiro Matsushita
    • 雑誌名

      European Journal of Combinatorics

      巻: 45 ページ: 59-64

    • DOI

      10.1016/j.ejc.2014.10.006

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] The topology of box complexes and the chromatic numbers of graphs2014

    • 著者名/発表者名
      Takahiro Matsushita
    • 雑誌名

      RIMS講究録

      巻: 1911 ページ: 34-47

  • [学会発表] Box complexes and Kronecker double coverings of graphs2015

    • 著者名/発表者名
      Takahiro Matsushita
    • 学会等名
      Low dimensional topology and number theory IIV
    • 発表場所
      九州大学(福岡県・福岡市)
    • 年月日
      2015-03-25
    • 説明
      (発表確定)
    • 招待講演
  • [学会発表] Box complexes and chromatic numbers of graphs2015

    • 著者名/発表者名
      Takahiro Matsushita
    • 学会等名
      Workshop and Seminar on Topological Combinatorics and Related Topics
    • 発表場所
      Kasetsart University (タイ・バンコク)
    • 年月日
      2015-01-07
    • 招待講演
  • [学会発表] Fundamental groups of neighborhood complexes2014

    • 著者名/発表者名
      松下尚弘
    • 学会等名
      2014年度ホモトピー論シンポジウム
    • 発表場所
      大阪府立大学(大阪府・堺市)
    • 年月日
      2014-11-02
    • 招待講演
  • [学会発表] The topology of box complexes and the chromatic numbers of graphs2014

    • 著者名/発表者名
      Takahiro Matsushita
    • 学会等名
      Intelligence of low dimensional topology 2014
    • 発表場所
      京都大学数理解析研究所(京都府・京都市)
    • 年月日
      2014-05-22
    • 招待講演
  • [学会発表] グラフのr-基本群とr-被覆写像について2014

    • 著者名/発表者名
      松下尚弘
    • 学会等名
      信州大学トポロジーセミナー
    • 発表場所
      信州大学(長野県・松本市)
    • 年月日
      2014-04-30
    • 招待講演

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公開日: 2016-06-01  

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