高分子は様々な分野において機能材料や高性能材料として利用されており、その表面は液体(非溶媒)と接触する場合が多い。このため、非溶媒との界面における高分子の構造と物性を正確に理解し制御することは、学術的にはもちろん、表面機能材料を設計する上でも重要である。本研究は、非溶媒との界面における高分子鎖の凝集状態ならびに局所コンフォメーションを明らかにしたものであり、得られた成果は以下のとおりである。 和周波発生分光測定に基づき、水界面における高分子鎖の局所コンフォメーションを支配する因子について検討している。試料として立体規則性の異なるポリメタクリル酸メチル(PMMA)を用いることで、モノマーのコンフィギュレーションが界面コンフォメーション、ひいては、界面構造再編成のダイナミクスに顕著な影響を及ぼすことを見出している。また、化学構造がPMMAに類似でありながら、カルボニル基を有していない高分子を合成し、その界面コンフォメーションを評価している。その結果、ビニル高分子においてカルボニル基の有無が界面コンフォメーションを大きく変化させ、ひいては、水の凝集状態をも変化させることを見出している。 以上、本研究は非溶媒との界面における高分子鎖の凝集状態・局所コンフォメーションについて重要な知見を得、非溶媒界面が関与する高分子機能性材料の設計開発に重要な指針を与えたものであり、高分子材料学上、価値があるといえる。上述の結果は2報の論文として既に発表している。
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