研究課題
1.早産児における社会的刺激の知覚機能評価:近年の大規模コホート研究は、早産児(在胎37週未満で出生した児)において、言語獲得や社会的認知の発達に困難を抱えるリスクが高いことを示した。しかし、早産児が乳児期にどのような認知発達過程を辿るのかは不明である。本年度は、昨年度に引き続き、早産児と満期産児を対象に、社会的刺激の知覚機能を評価検証した。その結果、1)早産児は満期産児に比べて人への選好が弱い、2)早産児では満期産児よりも視線を追従しにくい、3)修正12ヶ月の早産児は、修正6ヶ月児時点よりも人への選好が強く、視線も追従する(満期産児と同様の結果)、の3点が明らかとなった。以上の結果は、生後1年の間に、早産児と満期産児において、社会的刺激の知覚処理機能が異なる発達過程を辿る可能性を示唆する。2.早産児の発話知覚と言語獲得の関連:本研究は、修正6、12、18ヶ月の早産児と満期産児を対象に、視聴覚発話知覚の発達変化を縦断的に調べ、6ヶ月児時点の視聴覚発話知覚と12、18ヶ月児時点の受容・表出言語との関連を検証した。その結果、早産児と満期産児では、視聴覚発話知覚の発達過程が異なる可能性が示された。さらに、6ヶ月児時点の視聴覚発話知覚は、12、18ヶ月児時点の受容言語と有意に関連した。これは、早産児の受容言語の獲得において、視聴覚発話知覚能力が関与している可能性を示す。3.乳児の音声模倣メカニズムの解明:生後6ヶ月の満期産児を対象に、言語獲得に重要な役割を果たすとされる音声模倣のメカニズムを検証する研究を行った。その結果、音声模倣の際に、発話知覚と産出のパターンが有意に関連することが見出された。これらの研究成果は、ヒトが乳児期からどのように言語や社会的認知能力を獲得するのかについて、実証的証拠を提供するだけでなく、実証的証拠に基づく生後早期からの発達評価、支援法の開発に寄与する。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Infancy
巻: 21 ページ: 1-17
10.1111/infa.12144
音声研究
巻: 20 ページ: 1-13
京都大学大学院教育学研究科紀要
巻: 62 ページ: 1-13
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