研究課題/領域番号 |
13J04803
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
新垣 真紀子 東北大学, 大学院歯学研究科, 特別研究員(PD)
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キーワード | iPS細胞 / 歯 / エナメル芽細胞 / 歯原性上皮細胞 / 再生 |
研究概要 |
歯の発生は、歯原性上皮細胞と神経堤由来間葉細胞間の相互作用により複雑に形態制御されており、BMPやFGF、Shhなどの多くのシグナル分子群が重要な役割を演じていることが明らかとなっている。しかしながら、歯のエナメル質を形成するエナメル芽細胞に関しては、その詳細な分化メカニズムが明らかとなっておらず、人工的な分化誘導法もほとんど報告されていない。そこで本研究は、人工多能性幹細胞(iPS細胞)を用いて、エナメル芽細胞が分泌する細胞外基質蛋白アメロブラスチン(AMBN)を指標に、歯原性上皮細胞への分化誘導法の開発を進めている。 これまでに、マウス由来iPS細胞をラット歯原性上皮細胞株SF2と共培養すると、一部のiPS細胞をAMBN陽性細胞に分化誘導することが可能であり、SF2が発現するAmbnやNT-4がiPS細胞からエナメル芽細胞への分化過程において重要であることを明らかにしてきた。 SF2のconditioned medium (CM)を用いて培養した場合も同様に、RT-PCR法でサイトケラチン14 (CK14)やAmbnの発現増加を認めている。今回、他の細胞の混入を最小限にするためCM培養下で効率良く分化誘導を行うことを目的として培養方法を検討した結果、CM培養条件下でもiPS細胞由来AMBN陽性細胞の局在が認められた。 これにより、将来的なエナメル芽細胞分化メカニズムの解析や、iPS細胞由来歯原性細胞を用いた人工歯胚再構築への応用など、高純度で再生医療にも安全に使用できる細胞の獲得に繋がることが期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ラット歯原性上皮細胞株SF2の培養条件によっては、歯原性上皮細胞として安定した状態を培養維持しながらiPS細胞と共培養し分化誘導することが難しいが、CM培養にて分化誘導する条件検討を行うことで改善を図っている。
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今後の研究の推進方策 |
CM培養で分化誘導効率が低下しないよう、当初の研究計画通り、培養上清やエナメル芽細胞への分化過程における発現遺伝子を網羅的に探索することで、エナメル芽細胞への分化誘導に必要な因子の同定を行いながら、iPS細胞の効率的な分化誘導を試みる。また、iPS細胞を分化誘導する際に、3次元培養やカルシウム供給を目的として人工合成リン酸オクタカルシウム(OCP)を用いて、iPS細胞から歯原性上皮細胞への分化誘導効率を検討する。
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