研究課題/領域番号 |
13J04823
|
研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
佐野 昂迪 慶應義塾大学, 理工学研究科, 特別研究員(DC1)
|
キーワード | ゼータ関数 / 同変玉河数予想 / オイラー系 / Rubin-Stark元 / Darmon予想 / Gross予想 |
研究概要 |
数論において、ゼータ関数は活発に研究されている対象である。近年、ゼータ関数の値に関する予想として最も一般的と言える同変玉河数予想がBurnsとFlachにより定式化された。そして、Burnsを中心とした人々により、ゼータ関数と代数的不変量に関する予想の多くがこの同変玉河数予想から導かれることが証明された。私は、ゼータ関数の値を応用して代数的不変量を調べるオイラー系の手法を深く考察し、Rubin-Stark元というゼータ関数に関係する元に関してある予想を立てた。この予想はGrossやDarmonによる「精密類数公式」の一般化である。そして、私の予想が同変玉河数予想からほぼ導かれることを示し、その応用としてDarmon予想の「2部分以外」の証明を与えた。Darmon予想の「2部分以外」の証明はMazurとRubinにより別の手法を用いて与えられていたが、私の結果はそれの別証明となる。私はこの考察をさらに深め、Burnsと栗原との共同研究において、次の結果を得た。まず、私の予想は完全に同変玉河数予想から導けるということを示した。また、それによりDarmon予想の「2部分」も解くことができ、Darmon予想の完全解決をした。さらに、GreitherとKuceraにより研究されていたGrossのtoriに関する予想も、有理数体上アーベル拡大というかなり一般的な範囲で解いた。また、整Selmer群を導入し、その高次Fittingイデアルという不変量とRubin-Stark元を関係づける予想を定式化し、それが同変玉河数予想から導けることを示した。その応用として、Rubinのイデアル類群の消滅に関する結果の別証明を与え、また、栗原のイデアル類群の構造に関する結果の改善を与えた。私の予想の一般のモチーフに対する一般化はいまだなされていないが、以上のように同変玉河数予想の非常に多くの応用を与えることができた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
Burnsと栗原との共同研究において、Darmon予想の完全証明および有理数体上アーベル拡大に対するGrossのtoriに関する予想の証明を与えることができた。また、整Selmer群の高次FittingイデアルとRubin-Stark元に関する新しい予想を立てることができ、その応用としてRubinのイデアル類群の消滅に関する結果の別証明および栗原のイデアル類群の構造に関する結果の改善を与えることができた。これらのことは期待以上であった。
|
今後の研究の推進方策 |
Burnsとの共同研究を進め、私のRubin-Stark元に関する予想の非可換拡大に対する一般化、一般のモチーフに対する一般化を行う。
|