研究課題/領域番号 |
13J04890
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
山岡 潤一 慶應義塾大学, 政策・メディア研究科, 特別研究員(DC1)
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キーワード | ユーザーインターフェース / インタラクティブファブリケーション / 入出力デバイス / 導電性素材 / ヒューマンコンピュータインタラクション / プロトタピング / 創作支援 |
研究概要 |
本研究では、デジタル情報を直感的に扱うために、身近なマテリアルを用いた入出力インタフェースの開発を進めている。例えば粘土や紙、あるいはハサミやペンなど普段慣れ親しんでいる素材や道具の特性に着目し、それらを入出力としたインタフェースとすることで、"書く"や"造る"、"切る"などの手作業の創作活動がデジタル技術により拡張できると考える。今年度は、入出力に適しているマテリアル特性の調査やその特性を利用したプロトタイプの開発を行った。 dePENdは通常のペンと紙を用いて手描きを支援するシステムである。これはボールペンのペン先の強磁性に着目しており、机内部の磁石の位置をXYステージとコンピュータで制御することで, 筆記時のペンの動きを制御する。アプリケーションとして、図形や直線の自動的な描画や、アレンジの追加、通信機能やコピーアンドペーストなどの機能を実装した。enchanted scissorsは、身近な創作道具であるハサミに着目したインタフェースである。従来のハサミの素材に着目し、導電性インクで描かれた線に刃先が触れることで静電容量値が変化し、それに応じてハサミの開閉が動的に制御される仕組みを組み込んだ。紙に描かれた線をより正確に切る、ある範囲の中で自由に形状表現を行う、などの新たな体験が可能となる。 また複数のマテリアル特性を組み合わせることで、複数の性質を持った新しい素材を簡易に開発できる試みを行った。熱可逆樹脂に導電性のあるカーボン、磁性のあるトナーを混ぜることで複数の性質を持った樹脂を開発した。 これらの取り組みは、導電性などの素材の特性が、身近な素材をベースとした入出力インターフェースへの応用への可能性を示唆している。今後はこれらのプロトタイプを発展させて、よりアナログな素材とデジタル情報が結びつくことによって、創作活動支援や情報操作技術への発展に繋がるようにしていきたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
申請したテーマのもと、複数の新しいインタフェースのプロトタイプを開発しており、また幾つかのプロジェクトは国内外で発表し国際的な評価として認められた。また次期プロジェクトに向けて新素材の試作も行っているので、本年度の目標は達成している。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題は申請時に、柔軟な入出力デバイスの素材として導電性粘土を用いると述べた。しかし柔軟な入出力デバイスを構成するマテリアルは、他にも検討することができる。多角的に研究テーマに取り組むために、様々な素材の開発や検討を行う。また身近な素材をインタフェースとして扱う際に、粘土以外にも紙やハサミなど様々なツールや素材が存在する。本研究ではそれらと新しいファブリケーションツール(3Dプリンタ、レーザーカッター)を用いながら、新しいインタラクティブファブリケーションツールを開発する予定である。
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