本研究では、デジタル情報を直感的に扱うために、身近なマテリアルを用いた入出力インタフェースの開発を進めている。例えば粘土や紙、あるいはハサミやペンなど普段慣れ親しんでいる素材や道具の特性に着目し、それらを入出力としたインタフェースとすることで、”書く”や”造る”、”切る”などの手作業の創作活動がデジタル技術により拡張できると考える。 本年度は、これまで取り組んできた身近な素材を用いたツールの応用として、より実用的に使用可能にするべく、現在普及している3Dプリンタやバキュームフォームなどのファブリケーション技術に手作業の直感性を取り入れる試みを行った。また自然物などの身近な素材を体にしたロボットキットの開発や展示を行った。 例えばバキュームフォーマーを用いた高速かつ試行錯誤可能な立体造形ファブリケーションツールや、空中像と3Dプリンタを用いたインタラクティブモデリング環境、オープンデザインを取り入れた”歩き方"について考える学習用ロボットキットなどである。 幾つかのプロジェクトはすでに、採択率の低いUIST2014をはじめ国内外の学会などで展示を行っており、国際的な評価として認められている。また研究論文は情報処理学会論文誌の特選論文をはじめとして優れた研究や作品に贈られる賞なども受賞しているため、学術的にも社会的にも意義のある研究テーマであることが証明されている。 これらの取り組みは、導電性・柔軟性などの素材の特性をもつ身近な素材をベースとした入出力インターフェースあるいはデジタルファブリケーションへの応用への可能性を示唆している。
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