研究実績の概要 |
昨年度までにcalcyphosine-like a (capsla), Ras association domain family member 7b (rassf7b), retinol binding protein 7a (rbp7a), zgc110373の4遺伝子についてゲノム編集ツールのTranscription activator-like effector nuclease (TALEN)によりゼブラフィッシュ変異体を作製した。また、ゼブラフィッシュにはcapslaのパラログ遺伝子であるcapslbが存在するためcapsla/capslbの二重変異体を作製した。しかしながら、これらの変異体で左右非対称性に顕著な異常は観察されていなかった。本年度はcapsla/capslb変異体の継代を続けることでmaternal-zygotic capsla/capslb二重変異体を作製したが、この変異体においても顕著な左右非対称性の異常は認められなかった。 2013年、細菌や古細菌の獲得免疫機構であるCRISPR/Cas9システムを利用したゲノム編集が発表されたことを受け、私たちも独自にCRISPR/Cas9システムを立ち上げた。CRISPR/Cas9システムはTALENと比較してもメリットの多いゲノム編集ツールであり、昨年度からCRISPR/Cas9システムを利用してやはりKupffer’s vesicleに発現するF-box protein 16 (fbxo16)とregulator of G-protein signaling 3a (rgs3a)の変異体作製に取り組んでいた。本年度はfbxo16変異体系統とrgs3a変異体系統を樹立した。しかしながら、どちらの変異体もホモ変異体においても顕著な異常が見られなかったためmaternal-zygotic fbxo16変異体とmaternal-zygotic rgs3a変異体を作製した。maternal-zygotic変異体についても顕著な左右非対称性の異常は認められなかったため、Fbxo16およびRgs3aは胚発生初期には重要な役割を果たしていない、あるいはその機能は他の遺伝子によって補われていると結論付けた。
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