研究課題/領域番号 |
13J04952
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
本間 裕貴 慶應義塾大学, 理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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キーワード | 核融合プラズマ / 不純物輸送 / 運動論的シミュレーションモデル / 熱力 / 温度遮蔽効果 / モンテカルロ二体衝突法 / 国際研究者交流 / フランス |
研究概要 |
平成25年度の活動により、交付申請書に記載した研究目標(II)(III)に関する以下の進展と成果が得られたので報告します。 (II)本研究の研究目標(I)において新しく開発した熱力計算モデルを、実際の不純物輸送シミュレーションコードIMPGYRO(慶應大学畑山研究室にて開発)に実装した。その結果、IMPGYROコードは磁力線平行方向の熱力が計算できるようになり、不純物輸送計算の精度が向上した。次に、日本原子力研究開発機構のトカマクプラズマ装置JT-60Uの磁場形状データを用いてテスト計算を行った。JT-60U中におけるタングステン不純物の輸送現象は、熱力によって非常に大きな影響を受けることがシミュレーションによって示された。こうした熱力による輸送メカニズムの重要性を国際学会にて発表し、論文にまとめた。さらに本結果は1件の招待講演(プラズマ・核融合学会第30回年会)、及び1件の依頼講演(The 2^<nd> IFERC-CSC Review Meeting)に採択された。核融合エネルギー実用化に向けた、本研究の重要性が国内・国外において認められつつある。 また、パリ13大学LSPM laboratoryを訪問し、Xavier BONNIN博士と意見交換を行い、JET (Joint European Torus)トカマク装置の磁場配位データを取得した。JETトカマク中の不純物シミュレーションも今後行いたい。 (III)本研究の熱力計算モデルで用いている二体衝突モデルは、正確であるが計算時間がかかる事が問題である。フォッカープランク拡散方程式を用いることで、本熱力モデルをさらに拡張し高速化することに成功した。この成果を国際学会にて発表し、査読つき論文誌に投稿した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
交付申請書に記載した研究の目標は3ステップあり、そのうち(I)磁力線平行方向・垂直方向の熱力シミュレーションモデル構築、(III)フォッカープランク拡散方程式を利用したモデル高速化は完了した。目標(II)のうち、磁力線平行方向の熱力はIMPGYROコードに実装したが、磁力線垂直方向の熱力については未だ実装を完了していない。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度は、研究目標(II)における、磁力線垂直方向の熱力計算モデルをIMPGYROコードへ実装する。磁場平行方向の熱力と、これまで考慮されてこなかった磁場垂直方向の熱力を共に考慮し、熱力による不純物輸送メカニズムとその影響を検証する。こうして、本研究の目的である、不純物に働く熱力の正確な数値計算モデル開発と実用化が達成できる。 その後、実際のトカマクプラズマ(JT-60SA, JET, ITERなど)中のタングステン不純物輸送計算を行いたい。不純物によるプラズマ希釈や装置壁への熱負荷軽減効果を評価し、核融合プラズマ中の効果的な不純物輸送制御法の開発・提案を行う。このように本研究の成果を活用し、核融合エネルギー実用化に貢献していきたい。
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