研究課題/領域番号 |
13J04968
|
研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
角田 慶吾 早稲田大学, 理工学研究科, 特別研究員DC2
|
キーワード | 超対称性 / 余剰次元空間 / 標準模型 / 素粒子(理論) / Yang-Mills理論 |
研究概要 |
高次元超対称Yang-Mills理論において、余剰次元空間をトーラスコンパクト化し背景磁場を導入することで素粒子標準理論に整合する現象論模型の構築をすることを目標に研究を進めた。 これまでの研究で10次元超対称Yang-Mills理論に基づきひとつの模型が得られていたが、それをより現実的な模型にする上で必要な拡張が可能であるか検討した。その結果、具体的に2つの可能性が考えられたのでそれらについて考察し、それが現象論にどのような影響を及ぼすのかを調べた。基本とした模型は、超弦理論の枠組みでは複数枚のD-ブレーンを考えることに対応している。この枚数を増やすか、あるいはそれと次元の異なるD-ブレーンを追加した系を考えることでこれまでの模型を拡張することができる。この2つの模型拡張の方法において、超対称粒子のスペクトラムが新たな寄与を受けてずれていく可能性があるという共通した特徴がみられた。そこでその典型的な振る舞いを調べた。 また、LHC実験においてHiggs粒子が発見されその質量が特定されたことで、あらゆる現象論模型が更に精密に検証可能になった。上記の模型においてHiggs粒子の質量を求めたところ、LHC実験の結果に整合することを明らかにした。超対称粒子のスペクトラムは量子効果を通じてHiggs粒子の質量に影響する。そこで超対称スペクトラムとの関係も調べた。 更に一般化した背景磁場を導入することや、余剰次元空間にオービフォルドと呼ばれる新たな幾何学構造を導入することによっても模型のバリエーションが与えられることが分かったので、それらについても標準理論との整合性を調べた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
模型のバリエーション・拡張可能性について複数の可能性を調べ、従来の模型における課題を克服する具体的な模型構築には至らなかったが、それぞれの現象論的な性質はある程度調べることが出来た。またヒッグス粒子の質量についてもLHC実験との整合性を明らかにすることが出来た。しかし、並行して検討していたKaluza-Kleinモードを含めた模型の定式化までは完成させることは出来なかった。
|
今後の研究の推進方策 |
Kaluza-Kleinモードを含めた模型の定式化を目指すために10次元超対称Yang-Mills理論の成分場形式と超場形式による記述の相互的な理解を深めたいと考えている。 模型の拡張方法・定式化について更に調査を進め幅広い現象論的展開を視野に入れた具体的な模型の構築を目指す。
|