研究課題/領域番号 |
13J05022
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
内田 仁司 大阪大学, 歯学研究科, 特別研究員(DC2)
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キーワード | 時間生物学 / 顎下腺 |
研究概要 |
ヒトの安静時唾液には、分泌量に昼夜差を示すことが知られている。しかしながら、その調節機構は明らかでない。本研究はマウス顎下腺を用いて、唾液腺機能に概日リズムを生じる機構を解明することを目的としている。マウスにおいて、生体内(in vivo)での顎下腺に発現する時計遺伝子(Per2、Bmal1)、時計制御遺伝子(Dbp)、唾液腺機能分子のうち、水チャネルであるAquaporin5 (Aqp5)に時刻依存的な発現変動を示すことを明らかにした。これに対して、糖質分解酵素Amylase (Amy)は発現に変動を示さなかった。Aqp5の発現はマウスの活動期である夜間に最大値を示した。このことから、唾液分泌量の日内変動にAqp5の発現変動が関与していると考えられた。 また、マウスから顎下腺を摘出して培養し、生物発光を指標としたPER2の発現変動を連続的に測定した結果、明瞭な概日リズムを示した。このことは、顎下腺に固有の概日リズムが存在する事を示している。顎下腺に転写・翻訳フィードバックループによる分子時計機構が存在するかを明らかにするため、遺伝子改変発光レポーターマウス(Per2::lucknock-in mouse)から顎下腺を摘出、培養を行い、生物発光を指標にして経時的に培養顎下腺を回収しRNAを抽出後、定量PCRを行った。その結果、時計遺伝子(Per2、Bmal1)、時計制御遣伝子(Dbp)の発現に概日変動を示した。Per2とBmal1の発現パターンが、互いに逆位相となっていたことから、顎下腺に分子時計機構が存在する事が明らかとなった。現在、唾液腺の時計機構に発現が制御される機能分子の解析を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題は、唾液腺機能に概日リズムを生じる機構を解明することを目的としている。平成25年度の研究により、マウス顎下腺に固有の概日リズムが存在する事を明らかにした。また、胎生期顎下腺の発生過程において、PER2タンパク質発現に概日リズムが生じる過程を解析した。研究は、おおむね計画通りに進んでいると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
マイクロアレイ解析を行い、唾液腺において『時間依存的に発現が変動する』、『発現に変動を示さない』遺伝子を網羅的に解析し、定量PCRを行う。唾液腺遺伝子の発現変動を解析し、唾液腺機能に概日リズムを生じる機構を解明する計画である。
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