研究課題/領域番号 |
13J05085
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
徐 尭 京都大学, 文学研究科, 特別研究員(DC1)
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キーワード | 中国 / 都市部と農村部 / 社会保障革 / 公的補助 / 最低生活保障 |
研究概要 |
今年度は中国祉会保障の一環である、公的補助を中心に実証的研究を展開してきた。1990年代の国有企業改革の影響で、中国都市部の貧困問題が浮上した。それを緩和するために、「最低生活保障」という新しい公的補助制度は1999年にまず都市部で創設され、2007年から農村部も施行された。現行の制度は、地方によって経済発展の水準や物価指数などが異なるため、各地方政府が規定する最低収入基準が異なって保障力は同一ではない。にもかかわらず、"means-test"を中核とする当制度は、受給権の拡大、保障力と柔軟性の増加など、従来の公的補助とは大きく異なっている。 2013年の7月~8月において山西省太原市で最低生活保障制度にっいて聞き取り調査を行った。都市部人口が49.5万人で農村部人口が8万人の太原市万柏林区では、調査を行った時点(2013年7月)で都市部当制度の受給者数が4740人で、給付水準が一人当たり430元/月で、当月の最低生活保障関係支出が171.5万元である。それに対して、農村部当制度の受給者数が5912人で、給付水準が一人当たり430元1月で、当月の最低生活保障関係支出が194.8万元である。調査対象者によれば、「都市部も農村部も受給水準が毎年上がっているが、都市部ではダイナミック的な管理により受給者数がこの5年間ほとんど変わらない……2012年の年末から農村部の給付水準を一気に都市部と同じまで上がってから、区の財政にかなりの負担をかけた」など、2012年以来の太原市では都市部公的補助と農村部公的補助の合併を試行しはじめた。 今現在、中国全体に関しては戸籍制度の影響で現行の公的扶助制度はまだ都市部と農村部の区別で実施されたが、公式データを駆使して受給者数、給付水準、そして国からの財政投入を比較じた結果、都市部公的扶助と農村部公的扶助は分化されるのではなく統一される傾向にあることが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は中国の公的補助を中心に研究を進んできた。フィールド調査については、制度実施者に対する聞き取り調査が予定通りに実施したが、制度受給者に対する調査はいかにして位置づけられるかをもっと工夫する必要がある。なお、遼寧省における基本医療保険に関するフィールド調査も予定通りに実施した。
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今後の研究の推進方策 |
公的補助もしくは基本医療保険の制度受給者に対する調査は、従来の聞き取り調査に加え、留め置き調査もしくは構造化インタビューを実施する予定である。それから、調査対象者を増やすなど調査範囲を拡大する。
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