研究課題/領域番号 |
13J05186
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研究機関 | 独立行政法人理化学研究所 |
研究代表者 |
竹内 康造 独立行政法人理化学研究所, 平野染色体ダイナミクス研究室, 特別研究員(PD)
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キーワード | 染色体 / コンデンシン / カエル卵抽出液 / 分子活性 / 生化学的解析 |
研究概要 |
ほとんどの真核細胞には、コンデンシンIとコンデンシンIIと呼ばれる2つのタンパク質複合体が存在し、分裂期染色体の構築に必須な役割を担う。様々なアプローチから、2つのコンデンシン複合体の細胞内機能の違いが明らかになりつつある一方、その基礎となる分子メカニズムの理解は進んでいない。例えば、コンデンシンIは、ATPの加水分解を利用して2重鎖DNAに正の超らせんを導入することが知られており、染色体構築の本質的な反応のひとつと考えられている。しかし、コンデンシンIIがどのような分子活性を示すのかについては全く分かっていない。本研究では、コンデンシンIとIIを、それらが活性型として存在する分裂期カエル卵抽出液から精製し分子活性の比較解析を行うことを計画している。卵抽出液中でのコンデンシンIIの存在量はコンデンシンIの1/5程度と少ないことから、コンデンシンIIの精製には技術的困難が伴うことが予想された。本年度は、まずコンデンシンII特異的サブユニットに対する抗体を作製することから開始し、抗体の特異性や卵抽出液の必要量など様々な条件を検討した結果、コンデンシンIIを卵抽出液からアフィニティー精製することに成功した。一方、コンデンシンIを精製し、種々の生化学的解析手法を確立することもできた。現在、DNA超らせん化反応などの分子活性が、2つのコンデンシン複合体の間でどこまで共有されており、どこが異なるかという検証に入ろうとしている。本研究を進めることで、長い間謎だったコンデンシンIとIIの分子活性の違いが明らかになると考えている。そこで得られた情報と、これまでに集積されてきた2つのコンデンシン複合体の細胞内機能の情報を組み合わせることができれば、染色体構築の分子メカニズムの理解が大きく前進することは間違いない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究で重要な実験材料となるコンデンシンIとコンデンシンIIを、分裂期のカエル卵抽出液から精製し、生化学的解析に着手することができたため。
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今後の研究の推進方策 |
現段階で、本研究課題の研究計画を大きく変更する予定はない。来年度は、カエル卵抽出液から精製した天然型コンデンシン複合体に加えて、組換えサブユニットから再構成した、組換え型コンデンシン複合体も材料として解析を進める計画である。組換え型コンデンシン複合体とそのサブユニット欠失変異体のDNA超らせん化活性等を比較することで、コンデンシンIとIIの分子活性における各サブユニットの役割を明らかにしていきたい。
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