研究課題/領域番号 |
13J05204
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
野崎 優樹 京都大学, 教育学研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 情動知能 / 情動調整 / 社会的排斥 / 報復行動 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,情動知能の個人差が,社会的排斥場面での自己の報復行動や他者の報復行動への関与に対してどのように影響を与えるのかを明らかにすることである。本年度は,情動知能尺度の作成と,情動知能の機能を明らかにする実験の実施を中心に行った。具体的には,自己の情動に関する能力と他者の情動に関する能力を区分して包括的に測定できる尺度であるProfile of Emotional Competenceとその短縮版について,日本語版の作成を行い,その信頼性・妥当性の検討を行った。さらに,社会的排斥経験後の他者の報復行動を抑制するためには,社会的排斥が起きた時点で,被排斥者のネガティブな情動を和らげることが重要になる。そこで,作成したProfile of Emotional Competenceを用いて実験を行った結果,仲間はずれにされている人が悲しみを表出していない時に,情動知能の個人差はその人を仲間に入れてあげる行動として現れてくることが明らかになった。さらに,社会的排斥のパラダイムを用いて,情動知能の個人差が被排斥者のネガティブな情動を和らげる行動として現れてくるのが,仲間はずれにされている他者の性格が自分と似ているときか,似ていない時かを明らかにする実験も新規に行った。以上の研究を通じて,「自己の情動と関連する能力」と「他者の情動と関連する能力」を区分しつつ,情動知能を高めることでどのような行動が可能になり,どのような状況で情動知能の高さがより重要であるのかについての一端を明らかにすることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画通りに実験を実施やデータ分析,そして結果の議論を行うことができ,また研究成果について学会発表・論文発表の形で報告を行うことができたため。
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今後の研究の推進方策 |
今後も行動指標を用いて,情動知能が社会的排斥経験場面での具体的な行動に対してどのように現れてくるのかを検証する予定である。さらに,これまでの研究成果をまとめて,新たな観点から情動知能の機能に関するモデルを提示する展望論文を執筆することを計画している。
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