研究課題
平成27年度は平成26年度から継続して海外渡航制度を利用し、米国University of Pennsylvaniaにおいて、内在性レトロウイルスと自己免疫疾患に関する研究を行った。いくつかの自己免疫疾患は、内在性レトロウイルスに由来する細胞質DNA、すなわち自己由来DNAが細胞質に存在するDNAセンサー分子によってが認識され、I型インターフェロン反応を引き起こすことに起因すると考えられている。しかしながら、それらセンサー分子に関する詳細は明らかになっていない。本研究ではセンサー分子の同定、それらによるインターフェロン反応発生のメカニズムを明らかにすることとした。平成26年度までに、マウスのマクロファージ細胞株NR9456においてsiRNAによるセンサーのスクリーニングを行ったところ、Trex1とAim2が免疫応答の抑制に必要なことが明らかとなった。今年度はさらに解析を進め、Aim2様受容体の一つであるIFI205が免疫応答の活性化に必要なことを見出した。これらは初代培養マクロファージにおいても同様の結果であった。共免疫沈降法やProximity Ligation Assayなどを用いて分子間の相互作用を調べたところ、Aim2とIFI205が結合すること、両分子は当該免疫応答を調節する分子であるStingに結合すること、両分子のStingへの結合は拮抗し合うことを見出した。DNAプルダウンアッセイなどを行った結果、Aim2とIFI205はともにマクロファージ細胞質内に局在し、細胞質DNAにすることも明らかにした。以上の結果より、マウスにおける内在性レトロウイルス由来DNAに起因する自己免疫応答は、Aim2(抑制作用)とIFI205(活性作用)の2つのセンサー分子によって調整されていることが考えられた。これらの分子のホモログはヒトに存在するため、同様のメカニズムが考えられる。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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