研究概要 |
これまでHTLV-1は成人T細胞白血病や慢性炎症性疾患(HAM)を起こす事が分かっている。本課題では新たな方法として組換えワクシニアウイルス(rVV)を用いた治療法を開発する。 H25年度は①rVV接種によって誘導されたメモリーT細胞の機能評価、②霊長類へのワクチン効果の評価、③STLV-1感染ニホンザルへのワクチン接種、以上3つのテーマに沿って実験を行った。 ① HTLV-1抗原(Tax若しくはHBZの変異体)を発現するrVVをC57BL/6に接種した所、Tax若しくはHBZペプチド刺激によってIFN-gammaを産生するT細胞が増加した。特にrVV-TaxM22 (Taxの変異体)によって誘導されたメモリーT細胞はIL-2, IL-4, TNF-alphaなど様々なサイトカインを産生した。 ② HTLV-1霊長類モデルとしてMT-2細胞をアカゲザルに接種した。接種したサルではHTLV-1抗体価が上昇した事から、HTLV-1の感染が成立したと判断して作製したrVVを接種した。その結果、rVV-TaxM 22とrVV-HBZ LL/AA (HBZ変異体)の両方でT細胞でのペプチド特異的IFN-gamma産生を検出した。 ③ 別のHTLV-1感染霊長類モデルとしてSTLV-1自然感染ニホンザルを用いた。抗原としてTax/HBZと同等の機能を持っsTax/SBZの変異体を抗原として用いた。それらの抗原を発現するrVVを感染ニホンザルに接種した所、sTax/SBZペプチドに反応するメモリーT細胞を検出した。
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