研究課題/領域番号 |
13J05332
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
山田 雅俊 金沢大学, 自然科学研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 量子色力学 / 非摂動くりこみ群 / 有限温度 / 有限密度 / カイラル対称性 |
研究実績の概要 |
量子色力学(QCD)のカイラル有効模型の一つであるNambu--Jona-Lasinio模型を有限温度・密度系でくりこみ群による解析を行った。これまでの近似ではlarge-N leadingな寄与のみを取り入れる方法が用いられていたが、我々はそれを超える近似採用し、解析を行った。その結果、低温・高密度では2次相転移の相構造に大きな変化が見られた。その結果は論文としてまとめられた。さらに強磁場中での解析を行った。低温・高密度では4フェルミ結合定数の紫外固定点がde-Haas--van-Alphen効果によって振動することを見た。この成果は現在、論文としてまとめているところである。 1次相転移を含めた相構造の解析を行うために、有限温度・密度クォーク・メソン模型に着目した。従来の近似である局所ポテンシャル近似を超える近似を採用し、解析を行った。しかし、低温・高密度ではメソン場のくりこみがフェルミ面のゆらぎが大きくなることによって負になってしまい、数値的に赤外極限がとれない問題が発生した。これは採用した近似がメソンとクォークのプロパゲータが満たすべき条件を壊しているためであることがわかった。その近似を改良し、解析を進めているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
QCDのカイラル有効模型の従来の近似を超えた解析によって有限温度・密度、特に低温・高密度では特異な現象を確認することができた。また、ゲージ理論の有限温度・密度におけるカイラル相構造に明らかにするためのくりこみ群による解析手法が確立できてきた。よって「おおむね順調に進展している」と考える。
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今後の研究の推進方策 |
クォーク・メソン模型の解析を進め、新しい近似方法の下でのカイラル相構造がどのようになるかを明らかにする。この結果は論文としてまとめる。ここで得られた手法をQCDに応用する。 赤外における物理量を得る方法として我々は補助場の方法を念頭において解析を進めてきた。一方で、赤外での物理量を得る手法として弱解と呼ばれる方法が提案された。この方法では4フェルミ相互作用に対する量子補正はlarge-N leadingの寄与のみを取り入れることができる。しかし、物理量のゲージ固定パラメータ依存性を抑えることに重要な寄与を与える量子補正は取り入れることができる。そこで、補助場による結果と弱解による結果の比較を行いながら両者の関係やカイラル相構造、カイラル凝縮の温度・密度依存性を議論していく予定である。
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