研究課題/領域番号 |
13J05374
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
多田 昌平 東京大学, 大学院工学系研究科, 特別研究員DC2
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キーワード | 一酸化炭素 / 二酸化炭素 / メタン化反応 / 水素エネルギー / エネルギーキャリア / ルテニウム / ニッケル |
研究概要 |
1、CO_2メタン化触媒の開発 化石燃料の枯渇などの問題のため、再生可能エネルギーにより製造されるグリーン水素を水素キャリアを用いて輸送・貯蔵することが重要な課題になっている。CO_2メタン化反応により生成されるCH_4は有力な水素キャリアの一つと考えられる。CO_2メタン化反応は、逆シフト反応によって生成されたCOがメタン化することで進行する。COメタン化反応が発熱反応であるため、高温での反応ではCH_4選択率が低下してしまう。現在までに申請者は、低温において、高い逆シフト反応およびCOメタン化反応活性を有するCO_2メタン化触媒であるNi/CeQ_2触媒を報告している。本年度はNi/CeO_2触媒を改良したRu/CeO_2/Al_2O_3触媒を開発した。CO_2メタン化触媒に有効であるCeO_2をAl_2O_3に分散させることで、低温でのCO_2メタン化活性を向上させることに成功した。 2、CO選択メタン化触媒の開発 固体高分子形燃料電池の燃料である水素を炭化水素の改質により供給する際、副生するCOによるPt電極被毒を防ぐため、CO除去が必要である。CO除去プロセスとして現在のCO選択酸化反応にかえCOメタン化反応を採用すると、高精度での空気供給が不要となり、装置の小型化、制御の簡易化が進むため、PEFCシステム製造コストの低減につながる。この反応では改質燃料中に共存するCO_2のメタン化を抑制しつつCOのみを選択的にメタン化することが必要である。新規CO選択メタン化触媒を開発するため、Ru/TiO_2触媒への金属添加効果(Ni、Co、Fe、La、K、Na)を検討した。Ru/TiO_2触媒にNiを添加することで、CO_2メタン化反応中間体である蟻酸種の分解が抑制されたため、CO_2メタン化活性が低下することを見出した。また、Laを添加することで、COのC-O結合解離が促進され、低温におけるCOメタン化活性が向上した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、CO選択メタン化触媒を開発するために、反応機構の検討と金属添加による反応活性への活性種金属の影響を検討した。また、低温でのCO_2メタン化反応活性の高い触媒であるCeO_2/Al_2O_3担持金属触媒を開発することを目標とした。以上の目標は、研究実績の概要に示した通り、おおむね達成した。
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今後の研究の推進方策 |
1、CO選択メタン化触媒の検討 更なる反応機構検討を行うため、Ru-Ni/TiO_2触媒における金属(RuおよびNi)担持量の影響を検討する。加えて、開発したRu-Ni/TiO_2触媒の長期安定性を評価し、市販用燃料電池システムへの搭載可能性を探る(新規課題)。また本年度の知見をもとに、CO選択メタン化反応に適した触媒の調製法を検討する。 2、CO_2メタン化触媒の開発 CO_2メタン化活性の高い触媒に必要なCeO_2系担体を改良し、長期安定な触媒を開発する。検討する担体としては、(SmO_<1.5>)_x (CeO_2)_<1-x>や(GdO_<1.5>)x (CeO_2)_<1-x>といったCeO_2系酸化物を考えている。
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