研究課題/領域番号 |
13J05408
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
松本 圭太 九州大学, 総合研究博物館, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 初期遊牧民 / 前1千年紀 / 青銅器 / 初期鉄器 / カラスク / ユーラシア / スキタイ |
研究実績の概要 |
本研究はユーラシア北方草原地帯の東部を中心として、前1千年紀前葉における「初期遊牧民文化」の成立、展開過程のモデル化を目的とするものである。本年度の研究では、前1千年紀初頭の青銅器資料のうち、特に型式変化が比較的明瞭に捉えうる剣や斧に注目した。計画ではアルタイ山脈以東のみの検討を予定していたが、より広く動態を把握するため、さらに西側まで資料の集成および分析を行った。 ユーラシア草原地帯全体に広がった「初期遊牧民文化」の成立、展開過程を考える上で、現在最も注目されているのは当該文化中に見られる、モンゴリアなどの東方起源と言われる諸要素である。モンゴリアでは「初期遊牧民文化」以前(青銅器時代)にこれらの要素が見られることから、当該文化が東方(モンゴリア)の影響下において成立したとされ、集団の移動(西漸)がその背景として想定される場合もある。しかしながら、「初期遊牧民文化」期における物質文化の広がりは確認できるものの、それが直前の時期(青銅器時代)の文化の広がりとどのように異なり、どの点において「初期遊牧民文化」の広がりを大きな画期として区分できるのかは明確ではなかった。そこで、報告者は、青銅器時代後半の資料も併せ、統一的分類を行った。本研究の途中経過については、年度末に北京にて行われた「中国考古学論壇」で発表を行った。全ての検討結果は未発表であるが、「初期遊牧民文化」の段階は、ユーラシア草原地帯全体における共通性について、興味深いデータが得られつつある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究目的である「初期遊牧民文化」の広がりについて、興味深いデータが得られていること。 本年度の研究成果は論文受理までには至っていないが、資料の集成、分析は進んでおり、来年度中には成果報告が可能であること。
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今後の研究の推進方策 |
本年度の研究を継続し、本研究の成果を含んだ論文の投稿を準備中である。また、来年度から、ロシアにおいて長期の調査を計画している。調査中、資料の詳細な情報収集の他、南シベリアにおける最新の発掘、研究成果に触れる予定である。
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