研究課題
研究課題を達成するためにも、我々の研究チームは長年望まれている天体からのX線偏光観測を実現させるべく、NASAと共同で開発しているX線偏光計を搭載した衛星計画を推進している。私は25年度では、その衛星搭載用のX線偏光計と同等のものを日本でも製作・性能調査を行い、性能調査で得られた結果を衛星に載せるX線偏光計の詳細設計にフィードバックすることで、衛星実験の成功に貢献することを目指した。主な研究実績は以下のとおりである。1. 偏光計の製作・基本動作の確認2014年冬にある衛星計画提案書に向け、我々は早急に衛星搭載用のX線偏光計の性能調査をし、偏光計の詳細設計を決定する必要がある。そのためには現在NASAにしかない衛星搭載用のX線偏光計と同性能のものを日本で製作し、日米で並行して偏光計の性能調査を行わなければならない。私は、NASA側と直接やり取りをして、衛星搭載品の偏光計の機能に加え、NASA側ではできない性能調査に対応した独自のX線偏光計を設計した。そして、業者の協力を得て3ケ月ほどで製作し、偏光計としての基本動作である入射X線の偏光情報を持つ電子飛跡を確認することができた。2. 偏光検出と封入ガス圧の関係についてX線偏光計の詳細設計の一つである封入ガス圧について、私はガス圧力と偏光検出の関係を調査し、最適な偏光計の封入ガス圧の範囲を決定した。この研究成果はガス放射線検出器として初めての成果であるため、この内容を日本物理学会秋季大会で口頭発表、スペインで行われたガス放射線検出器の国際会議MPGD 2013で口頭発表し、さらに国際会議の査読付きproceedingsとしてまとめた。このproceedingsは2014年冬にある衛星計画提案書の参考文献として衛星計画に積極的に利用されることを目指した。
2: おおむね順調に進展している
昨年度の目標である独自の偏光計の製作・動作確認は、偏光計としての基本動作である入射X線の偏光情報を持つ電子飛跡を確認することができたので、当初の予定どおりに完了した。また、偏光計の詳細設計の一つである封入ガスの最適な圧力範囲を実験から求め、国内会議をはじめ、国際会議での発表・査読付きのproceedingとして成果をまとめることができた。
昨年度に私が立ち上げたX線偏光計の詳しい性能調査のため、この一年は偏光したX線が出力できる大型放射光施設SPring8で我々の偏光計の応答を調べる。その調査から得られた結果をNASAと共同で推進している衛星計画に反映することを目指す。さらに、我々の偏光計のコアデバイスであるガス電子増幅フォイルは、高い増幅率、時間安定性、電子増幅の場所依存性が少ないのが売りであるが、定量的に調べられていない。私はこれらの項目について詳細に調べ、6月末にある国際会議SPIEでポスター発表およびproceedingとしてまとめる予定である。
すべて 2014 2013
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (6件)
Journal of Instrumentation
巻: Volume 9
10.1088/1748-0221/9/01/C01002
10.1088/1748-0221/9/03/C03043