研究概要 |
脳神経系の構築の中でも神経核構造に着目し、マウス視床をモデルとして神経核のパターン形成の分子メカニズムを解析している。具体的にはこれまでに、予定視床領域で転写因子Foxp2の発現量が前後軸方向に勾配を持つこと、また機能不全型のFoxp2を発現するFQxp2 (R552H)ノックインマウスを用いて、Foxp2の発現依存的に予定視床領域は後外側視床亜核群へと分化すること、即ちFoxp2が視床パターン形成を制御することを示してきた。そこで、平成25年度の研究では、視床パターン形成におけるFoxp2の十分性と視床自律性の検討、Foxp2の発現を制御する上流因子の探索、Foxp2によって発現が制御される下流因子の探索を進めた。 まずは、上流因子の探索において、候補遺伝子のコンストラクトを入手し子宮内電気穿孔法を用いて候補遺伝子の発現操作を行った。その結果、Foxp2の発現を抑制する上流因子としてFGFを見出した。 次に、下流因子の探索において、in situ hybridization法を用いた予定視床領域での発現パターン解析で候補遺伝子の数を絞り、Foxp2 (R552H)ノックインマウスでの候補遺伝子の発現パターンを解析した。その結果、Foxp2によって発現が亢進される下流因子EphA7, EphA4を見出した。 最後に、視床自律性の解析を進めるために、shRNAコンストラストを作成した。HEK293細胞および子宮内電気穿孔法を用いてshRNAのFoxp2発現抑制効率の検討を行ったところ、shRNAはin vitro, in vivoの両方で十分なFoxp2の発現抑制機能を持っていた。そこで、胎生11.5日齢で予定視床領域でFoxp2の機能抑制を行い、in situ hybridization法で視床亜核マーカーの発現変化を検討した。
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