研究課題/領域番号 |
13J05567
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
諸藤 達也 京都大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | 有機化学 / 電気化学 / 電解酸化 / C-H官能基化 |
研究実績の概要 |
本研究者はこれまで開発してきた窒素官能基導入反応を分子内反応へ展開し、ベンゾオキサゾールやベンゾチアゾール類の合成法を確立することに成功した。2-ピリミジルオキシベンゼンを電解酸化すると対応するカチオン性中間体の生成が1H NMRから確認できた。また通電後ピペリジンと反応させると2-アミノベンゾオキサゾールが85%で得られた。本反応は官能基許容性が高く、エステル、メチル、ハロゲントリフルオロメチル、ケトン、シアノ基など様々官能基が反応条件に耐えた。また原料に2-ピリミジルチオベンゼンを用いると2-アミノベンゾチアゾールが得られ、本反応も様々な官能基が許容であることが分かった。ベンゾオキサゾールやベンゾチアゾールは医薬によく見られる骨格であるが、合成するには一般的にアミノフェノールまたはアミノチオフェノールなど二置換ベンゼン類を基質に用いる必要があった。より効率のよい合成を可能にするためアニリン類の分子内C-Hアルコキシ化やC-Hチオール化等で合成する手法が開発された。一方、同骨格をフェノール類の分子内C-Hアミノ化で合成する例は一例しか報告されておらずチオフェノール類の分子内C-Hアミノ化で合成する例は報告されていなかった。そのため本手法は従来の分子内C-H官能基化によるベンゾオキサゾールやベンゾチアゾールの合成手法と相補的であり、幅広い応用が期待される。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本特別研究員は常日頃より研究に対して熱心に取り組み、粘り強く研究テーマを進めております。本研究員が熱心に研究に取り組む姿勢は研究室全体に良い影響を与えております。研究成果は着実に表れており、論文は既に発表しているものをはじめ、現在執筆中のものもあり、近日に投稿する予定であります。また国内外の学会発表にも積極的に参加しております。さらに他分野との交流などにも積極的に取り組んでおり、将来有望な研究者として着実に成長しております
|
今後の研究の推進方策 |
今後はより一般性の高い分子変換を確立する新たな原理を探索する予定です。具体的にはこれまでヘテロ環化合物と芳香族化合物のラジカルカチオン種が反応することを利用し、窒素官能基を導入する手法を開発してきましたが、アルキルアミンに拡張するため適切な分子設計を行う予定です。 またこれまで開発してきた反応や現在開発中の反応を用いて生理活性物質の迅速合成に取り組み本研究の集大成としたいと思います。
|