本年度は、ウィッテンゼータ関数やウィッテンL-関数の零点、特殊地及び平均値を求めることを目的として研究を進めた。ウィッテンゼータ関数は物理学の分配関数から派生した概念であるが、分配関数の零点は相転移を表すものなので、分配関数の零点を研究することは物理学では重要な研究テーマとなっている。同様に、ウィッテンゼータ関数の零点とウィッテンL-関数の零点や特殊値を見つけることは数学における大事な研究課題である。 有限群Gのウィッテンゼータ関数は、-2を零点として持つ。黒川と落合はこれに着目し、無限群に関するウィッテンゼータ関数も-2を零点として持つだろうと予想した。しかし、ウィッテンゼータ関数に群Gの元を加えて構成したウィッテンL-関数の場合になると、-2での特殊値が必ずしも0にならない場合もある。そしてこの「0にならない」部分はウィッテンL-関数の平均値にも関わってくる。 これらを踏まえて本年度はウィッテンゼータ関数やウィッテンL-関数の零点や特殊値および平均値について研究し、その成果を研究集会で発表した。特に、SU(2)の、元を1個だけ加えたウィッテンL-関数の平均値は、多くの場合、0、1、±∞となることがわかった。 さらに、有限群Gのウィッテンゼータ関数は指標に関する和となっているが、これらを共役類に関してまた足し合わた「unifiedウィッテンゼータ関数」についても考え、指標の次数の種類が少ない場合はunifiedウィッテンゼータ関数が消えてしまうこともあることがわかった。
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