研究課題/領域番号 |
13J05682
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
金 東煜 東北大学, 大学院生命科学研究科, 特別研究員(DC2)
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キーワード | ポリアミン / サーモスペルミン / ポリアミン酸化酵素 / シロイヌナズナ / イネ / 分解様式 / 形態形成 |
研究概要 |
シロイヌナズナ植物には、5種のポリアミン酸化酵素遺伝子(AtPA01~AtPA05と呼称)が存在する。これら5つの遺伝子がそれぞれ機能を失った植物体を確立してきた。それぞれの単一遺伝子欠損植物体を詳細に観察し、Atpao5欠損植物体が生育後期に茎の身長が著しく遅れることを見出した。野生株とAtpao5変異体のポリアミン組成を調べると、サーモスペルミンの含量のみが野生株の2倍となっていることを見出した。また、本遺伝子欠損個体種子を低濃度のサーモスペルミン含有培地に播種すると、地上部の生育が著しく阻害されることも見出した。根部の生育には、野生株との差を見ることができなかった。これらの現象は、Atpao5変異体に野生株由来のAtPAO5ゲノムDNAを導入すると相補されることも確認した。サーモスペルミン合成酵素遺伝子を欠損しているシロイヌナズナは茎伸長が著しく阻害されることが、他グループによって明らかにされている。この点を考慮すると、シロイヌナズナにおいてサーモスペルミン代謝は、厳密に制御される必要があり、合成そして分解のいずれが阻害されても茎の伸長阻害が起こることを明らかにしつつある。 AtPAO5タンパク質の植物細胞内での局在部位、さらには大腸菌の系から精製した組換えAtPAO5につき、酵素化学的特徴づけも行い、シロイヌナズナの全てのポリアミン酸化酵素が逆変換反応型の反応様式をもつこと、試験管内では、サーモスペルミンだけでなく、スペルミンをスペルミジンに変換する活性をもつことも明らかとした。 上記の内容をまとめた原著論文の改定稿を準備しているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
シロイヌナズナのポリアミン酸化酵素5がサーモスペルミン特異的な酸化酵素であること、この遺伝子破壊株が生育後期に形態異常を示すこと、を明らかにした。しかし、学術論文の受理に至っていないことから上記の「区分」とした。
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今後の研究の推進方策 |
学術論文の受理に向け、必要なデータを作成する。また、ドイツ国ゲーテ大学グループとの共同研究により、ポリアミン酸化酵素5が機能しないシロイヌナズナが示す形態異常の分子基盤を明らかにすることを、次年度の目標とする。
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