研究課題/領域番号 |
13J05707
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
萬 礼応 慶應義塾大学, 理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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キーワード | 歩行計測 / トラッキング / カルマンフィルタ / 相関処理 |
研究概要 |
サービスロボットなど人間の生活空間で稼働する移動体には、歩行者の動きを考慮した安全な移動技術が求められている。このような移動を実現するためには、歩行者の動きを追跡・予測する技術が必要である。歩行者の追跡走行や駅などの施設におけるモニタリングシステムなどにおいては、広範囲かつ高精度な距離情報が取得可能なレーザレンジセンサを用いて歩行者の重心を追跡する技術が多数提案されている。しかし、重心の移動だけでは歩行者の動きを予測することは難しい。また、視線や体の向きに基づいて歩行者の動きを予測する手法も提案されているが、歩行者が移動体と対峙し進行方向を変化させる際には、視線や体の向きが必ずしも移動方向と等しくなるとは限らない。移動体に対峙した歩行者の動きをより直接的に捉えるためには、重心だけでなく、両脚を識別し歩行周期まで取得できることが重要である。そこで、移動するロボット搭載のレーザレンジセンサの距離情報から歩行者の両脚の軌跡および歩行周期を計測可能な手法を提案した。特に、歩行者が移動体と対峙し、方向転換する場合には両脚がクロスするような動き(クロスステップ)がみられる場合があり、両脚の誤識別や見失いが生じやすい。これに対して、レーザレンジセンサで取得した距離情報から五種類の観測パターンに基づく脚検出手法および立脚、遊脚、速度などの脚の状態に基づく対応付け(相関処理)により両脚の誤識別や見失いが生じにくい手法を提案した。また、実際に病院内のスタッフを被験者としてサービスロボットとのすれ違い実験を行い、提案手法の有効性を確認した。さらに、クロスステップを検出可能なアルゴリズムも開発しており、これらに基づいて歩行者の移動体に対する進行方向の変化を含めた未来の動きを予測することで、より安全な回避行動の実現が期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
人間の生活空間で稼働する移動体には歩行者の動きを追跡・予測する技術が必要である。特に、歩行者が移動体と対峙した場合の動きを捉えることが重要となるため、歩行者の両脚の軌跡および歩行周期を計測可能な手法の設計に取り組み、実験的に有効性を確認した。その知見に基づいて、今後歩行者に対する安全な移動技術の確立に向けた回避手法の設計を行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
提案した歩行者の移動推定技術に基づいて歩行者の未来の動きの不確定要素を確率分布で表現し、移動体のダイナミクスなどの制約条件や安全性や移動効率などの評価関数の定式化を行い、本研究で対象とする動的な環境における移動問題を確率制約条件付きモデル予測制御に適用し、数値シミュレーション及び実機実験により検証を行う。また、複数の歩行者が存在する複雑な環境へも適用できるように手法の拡張を行う。
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