研究実績の概要 |
本年度は、研究計画のうち、①〈臨生〉の視座を持つ諸思想の検討、および③心理療法およびケアの領域における基礎理論の検討という二つの課題に取り組んだ。 ①の課題に関しては、ユング(Jung, Carl Gustav)が自らの「個別的」な体験を「普遍性」をもった知の形としていかに昇華させたかという問いについて引き続き検討し、その成果は『ユングとジェイムズ―個と普遍をめぐる探求』(単著)(創元社、2014年6月)として出版された。また、論文“The Red Book and Psychological Types: A Qualitative Change of Jung’s Typology”が、査読審査の結果、Analytical Psychology in a Changing World: The search for self, identity and community(L. Huskinson and M. Stein (ed.))(Routledge: London and New York, 2014. 8)に採録された。 ③の課題に関しては、〈臨生〉の思想を含むスピリチュアリティの問題をケアの領域において広く取り扱った『ソーシャルワークにおけるスピリチュアリティとは何か―人間の根源性にもとづく援助の核心』(E. カンダ・L. D. ファーマン著、共訳)(ミネルヴァ書房、2014年12月)および、終末期ケアをめぐって書かれた『死にゆく人と共にあること―マインドフルネスによる終末期ケア』(J. ハリファックス著、共訳)(春秋社、2015年3月)において、一部の翻訳を担当した。
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