研究課題
申請者はこれまで、関節リウマチ(RA)の発症には、T細胞に発現するAhrが必要不可欠であることを明らかにしてきた。しかしながら、Ahrがどのようなシグナルカスケードを介してTh17細胞の分化を誘導し、さらにRAを惹起するのかといった細胞内の分子メカニズムは依然として不明である。このため、今後も発展的にこれらのメカニズムを解決するため、申請者はmicroRNAと呼ばれる20塩基前後のnon-codingRNAに着目した。予備的実験から、Th17細胞の分化条件下において、miR-132/miR-212clusterの発現がAhr依存的に制御されていることを見出したが、miR-132/miR-212clusterの免疫細胞における役割は不明であった。そこで、平成25年度においては、Ahrが制御するmiR-132/miR-212clusterを鍵分子として、Th17細胞の分化制御機構について解析を行った。その結果、miR-132/miR-212clusterはTh/7細胞分化抑制因子であるBc1-6の発現抑制を介して、Th17細胞の分化促進に寄与していることが明らかとなった。また、miR-132/miR-212cluster欠損マウスに実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)を誘導したところ、Th17細胞の減少、EAEに対する抵抗性を示すことを見出した。本研究の成果は、Th17細胞が主因と考えられる他の自己免疫疾患研究への波及効果も大きいことから、社会的にも高い意義を持つ内容であると考える。
2: おおむね順調に進展している
研究計画に沿って、miR-132/miR-212clusterがTh17細胞の分化に関与していることをin vitro、in vivoの両面から証明できた。また、以上の結果を論文として報告することもできたことから、おおむね順調に進展しているものと評価する。
平成26年度以降は関節リウマチ(RA)のモデルマウスを用いて、RAにおけるmiR-132/miR-212 clusterの機能についての解析を進めていく予定である。
すべて 2013
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件)
Semin Immunopathol
巻: 35 ページ: 637-644
10.1007/s00281-013-03926.
Proc Natl Acad Sci U S A
巻: 110 ページ: 11964-11969
10.1073/pnas.1311087110.
Int Immunol
巻: 25 ページ: 335-343
10.1093/intimm/dxt011.