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2013 年度 実績報告書

視覚性自己運動感覚の神経基盤-複数感覚領野間結合の解明

研究課題

研究課題/領域番号 13J05795
研究機関京都大学

研究代表者

上崎 麻衣子  京都大学, 文学研究科, 特別研究員(DC1)

キーワード視覚性自己運動感覚 / オプティカルフロー / 視覚野 / 感覚連合野 / 前庭野 / fMRI / DTI
研究概要

本研究の目的は、視覚性自己運動感覚の神経基盤を明らかにすることである。先行研究により、オプティカルフロー刺激の処理に関わる大脳皮質領域が同定され、自己運動中の視覚情報処理のメカニズムが示唆された(e.g. Cardin & Smith, 2010)。しかし、これらの研究ではオプティカルフロー刺激の観察に運動感覚が伴わなかったため、視覚性自己運動感覚の統一的な理解が得られない。そこで、本研究では観察者に自己運動感覚を与えるオプティカルフロー刺激を用い、利用できる情報が視覚情報に限られている場合の自己運動知覚に関わる大脳皮質領域を、fMRIを使って検討した。実験の結果、自己運動中の視覚性運動情報と一貫性のある視覚入力がある場合、その処理に自分が動いているような感覚が伴い、視覚野や前庭野、感覚連合野の一部がより強い反応を示すことがわかった。これは、利用できる情報が視覚情報に限られている場合の自己運動知覚に、前庭野と感覚連合野が深く関わっていること、さらに視覚情報が前庭野・感覚連合野に伝達されることで視覚性自己運動感覚が知覚されることを示唆する。
これらの領域間の相互作用モデルを検討するにあたり、領域間の構造的結合性を、拡散テンソル画像法(diffusion tensori imaging : DTI)を用いて調べる意義がある。前述の関心領域間の構造的結合性の研究に用いるDTIの処理・解析方法を修得するため、独国ベルリン大学附属シャリテ病院でインターンとしてDTI研究に参加した。帰国後、前述のfMRI実験と平行し、対象の被験者からDTIデータを集めた。現在、インターンで修得した知識を活用し、それらDTIデータの解析を行っている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

修士課程より継続しているfMRI実験は実験条件の改良を経て論文執筆に向け順調に進んでいる。DTI実験に関しては、インターンシップ中に参加した研究が臨床実験だったため、帰国後自身が行っているDTI研究に解析技術を応用するにあたり予想以上の勉強が必要であり、多少の遅れはある。ただし、今年度7月には学会発表も予定しており、研究は順調に進んでいる。さらに、昨年度1月に東京で行われた視覚学会での議論の末、今後のDTI研究の一部は米国スタンフォード大学の研究者と共同で行うことも決まっている。

今後の研究の推進方策

現在は昨年度遂行したfMRI実験をまとめ、論文を学術雑誌Frontiersに投稿することと、昨年度末に集めたDTIデータの解析に注力している。研究計画の変更はなく、今後も視覚性自己運動感覚の神経基盤をfMRI、心理物理学的手法を用いて検討する。DTI研究については、前述の通り、一部を知覚科学における最先端のDTI研究を行っている米国スタンフォード大学の研究者と共同で行う予定である。様々な手法を統合したアプローチをとることで、より包括的な視点で視覚性自己運動感覚の神経基盤を追求する。また、本年康は、研究の遂行と平行して、昨年度までに行った研究成果の発表にも重点を置く。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2013

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] Face inversion effect on perception of vertical gaze direction2013

    • 著者名/発表者名
      Stevanov, J., Uesaki, M., Kitaoka , A., Ashida, H. & Hecht, H.
    • 学会等名
      European Conference on Visual Perception
    • 発表場所
      Bremen, Germany
    • 年月日
      2013-08-28

URL: 

公開日: 2015-07-15  

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