研究課題/領域番号 |
13J05882
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
亀井 慶太 京都大学, 経済学研究科, 特別研究員(DC2)
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キーワード | 寡占理論 / 垂直特化による分業 / 垂直的差別化 / 企業生産性 / 広告競争 |
研究概要 |
【総括】 平成25年度は以下に示す2つの研究を行った。 1. 労働市場を考慮した寡占的一般均衡モデルの研究 2. 広告競争をともなった動学的寡占競争に関するTenryu and Kamei (2013)の拡張 1. 成果はKamei (2013, 2014).にまとめられている。Kamei (2014)はEconomics Lettersに掲載が決定している。2.の研究成果は来年度中にまとめ、国際的学術誌に投稿予定である。 【主要な研究成果について】 平成25年度は、労働市場を明示的に考慮に入れ寡占的一般均衡モデルに取り組んだ。Kamei (2014)は寡占的一般均衡モデルに垂直的特化による分業モデル導入し、政府による競争促進政策が企業生産性にマイナスの影響を与え、厚生を悪化させることを示した。Kamei (2013)では、そのモデルを多数国貿易モデルに拡張することで、貿易自由化が企業退出を促し、企業生産性に対してプラスの影響をあたえることを示した。Kamei (2014)はEconomics Lettersに掲載予定である。 さらに広告競争を明示的に導入した動学的寡占競争モデルTenryu and Kamei (2013)の拡張研究をおこなった。Tenryu and Kamei (2013)では、財が極めて粗悪であったとしても、消費者は必ずその財を消費するという仮定が置かれていた。しかしながら、現実には、極めて粗悪な商品の場合には、たとえどれだけ広告料が増加しても購入されないことも多く、研究会などでもこのような批判を受けることが多かった。そのため、今回の研究では、Tenryu and Kamei (2013)の仮定をゆるめ、「十分に財が低品質の場合は消費を行わない」という想定を採用することによって、モデルをより、現実的な方向に拡張し、Tenryu and Kamei (2013)で得られた結果は特殊な仮定に依存しない頑健なものであることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
平成25年度は1.の研究成果として、2本の論文をworking paperとしてまとめた。その中の一つが国際的学術誌Economics Lettersに掲載が決定している。さらに、それ以外の1本の研究成果もworking paperとしてまとめられている。さらに2.の研究についても分析が完了しており、近いうちにworking paperとして報告される予定である。以上の理由から当初の計画以上に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究計画は主に以下の点に要約される。 ①1. 研究の関して、いくつかの仮定を緩めることによる拡張研究をおこなう ②Tenryu and Kamei (2013)の拡張研究である2. 研究をworking paperにまとめる。 ③2. の研究を国際貿易モデルに拡張する。 研究成果の得られたものから、随時working paperとしてまとめ、国際的学術誌に投稿していく予定である。
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