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2013 年度 実績報告書

細胞がん化の早期診断のための生物発光酵素固定フォトニック結晶の創製

研究課題

研究課題/領域番号 13J05911
研究機関千葉大学

研究代表者

宮下 惟人  千葉大学, 大学院工学研究科, 特別研究員(DC1)

キーワードグアニン結晶板 / 磁場配向 / 光反射 / FDTD法 / 薄膜干渉 / セルロースウィスカー
研究概要

生物発光分子と魚類由来グアニン結晶板を組み合わせたマイクロ光源の作成のため、25年度は以下の研究を遂行した。
1, グアニン結晶板による光反射FDTDシミュレーションにより、三次元空間的に光伝搬特性を解析した。FDTD解析は生物が生産する結晶のナノ構造の特性を活かした光材料設計において有用といえる。グアニン結晶近傍から蛍光発光を発生させた場合、遠方から光照射した際の反射光薄膜干渉の計算機解析を行った。比較的薄い50nm程度の厚みを持つグアニン結晶板は反射光の波長依存性が弱い一方、150nm程度よりも厚い結晶板は波長特性が顕著に現れることが明らかとなった。また、2枚の結晶板が重なり合う条件をモデル化し、板厚に対して積層間の間隔が約1/2の際に波長特性が顕著に現れる解析結果が得られた。FDTD解析からは50°の入射角で強い結晶板からの高指向性光反射が確認されたが、顕微鏡実験ではより低い入射仰角からの光も強く反射することが観察されており、今後相違点について検討を行う必要がある。
2, 細胞への光ビームの照射が磁気的に制御可能なことを確認するため、受入研究者のJSTさきがけプロジェクトの一環として走光性微細藻類を有効利用した実験を行った。光応答性藻類細胞の培養系にグアニン結晶板を混ぜ、グアニン結晶の方向を磁場配向制御することにより、結晶板に対する振る舞い(アッタッキングをする現象)の応答性の向上が確認された。この結果はグアニン結晶板からの光ビームの照射が培養系内を遊走する藻類細胞の方向へと磁気的にコントロールされていることを証明したといえる。
3, グアニン結晶の他にも特徴的な構造を持つ生体由来材料として、ウィスカー形状の微結晶性セルロースについても、磁場配向技術で結晶回転を制御することで光学的な散乱光指向性の制御が可能であることを発見した。磁場中光散乱測定実験およびFDTDシミュレーションにより、入射光に対して垂直に配向した微結晶性セルロースウィスカーはマイクロレンズの効果を示し、入射光に対して指向性の高い前方散乱を生じることが明らかとなった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

グアニン結晶板光反射特性のFDTDシミュレーションを行うことで, 高光入射角条件での光散乱のシミュレーションでは実験と異なる結果となった。表面の凹凸形状もしくは、結晶板固体層の内部に層状構造があるのではないかとの推察を行い、微細構造に着目したシミュレーションを遂行中である。積層構造モデルの解析では反射角に対する分布にディップが生じることが確認されていることから、AFM(表面凹凸)やSIMS(深度方向)の解析の必要性を検討している。また、グアニン結晶板への発光分子の固定実験では、十分な手法が確立できておらず、平成26年度前半の最重要課題として取り組む。

今後の研究の推進方策

今後はグアニン結晶板に発光分子を固定することを平成26年度の主な課題とする。魚類グアニン結晶板は細胞内色素胞されることから、結晶板表面に膜由来の界面活性剤等が付着していないかどうかを確認・表面を洗浄する方法を確立する。その上で表面処理を検討し、生物発光高分子の固定化を図る。また、本研究代表者は平成26年4月1日より所属機関を千葉大学工学研究科から広島大学先端物質科学研究科へと変更する(受け入れ研究者の移動のため)。研究場所はナノデバイス・バイオ融合科学研究所となり、SPM・SIMS等の装置の十分な実験環境を活用し、研究室全体のプロジェクトとしても生体由来マイクロ結晶の構造解析実験の進展に注力したい。また、文科省ナノテクノロジープラットフォームの微細加工装置を使用し研究の最終目標である細胞計測のための、マイクロチップの作製にも取り掛かる。平成27年度には、マイクロ光源を用いた、細胞の高感度光計測形の構築を目標とする。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2014 2013

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (7件)

  • [雑誌論文] Microcrystal-like cellulose fibrils as the diamagnetic director for micro fluidic systems2014

    • 著者名/発表者名
      Y. Miyashita, M. Iwasaka and T. Kimura
    • 雑誌名

      Journal of Applied Physics

      巻: 115 ページ: 17B519(1-3)

    • DOI

      10.1063/1.4866520

    • 査読あり
  • [学会発表] フォトニック結晶(窒化ホウ素)の光磁気特性2014

    • 著者名/発表者名
      宮下 惟人
    • 学会等名
      第61回応用物理学会春季講演大会
    • 発表場所
      青山学院大学(相模原キャンパス)神奈川県相模原市
    • 年月日
      2014-03-20
  • [学会発表] 魚類および藻類由来マイクロ・バイオリフレクターのFDTD解析2014

    • 著者名/発表者名
      宮下 惟人
    • 学会等名
      第61回応用物理学会春季講演大会
    • 発表場所
      青山学院大学(相模原キャンパス)神奈川県相模原市
    • 年月日
      2014-03-20
  • [学会発表] 微結晶性セルロースの磁場中光散乱観察2013

    • 著者名/発表者名
      宮下 惟人
    • 学会等名
      第8回日本磁気科学会年会
    • 発表場所
      東北大学(片平さくらホール)宮城県仙台市
    • 年月日
      2013-11-21
  • [学会発表] 円石藻のバイオエネルギー生産促進に向けた磁場配向下での円石光学特性のFDTD解析舜2013

    • 著者名/発表者名
      宮下 惟人
    • 学会等名
      第8回日本磁気科学会年会
    • 発表場所
      東北大学(片平さくらホール)宮城県仙台市
    • 年月日
      2013-11-21
  • [学会発表] Microcrystal-like cellulose fibrils as the diamagnetic director for micro fluidic systems2013

    • 著者名/発表者名
      Yuito Miyashita
    • 学会等名
      58th conference on Magnetism and Magnetic Materials
    • 発表場所
      Sheraton Denver Downtown Hotel(国際会議場)コロラド州デンバー(米国)
    • 年月日
      2013-11-07
  • [学会発表] セルロース微結晶の磁場配向と光反射強度変化に関する基礎研究2013

    • 著者名/発表者名
      宮下 惟人
    • 学会等名
      第74回応用物理学会秋季講演大会
    • 発表場所
      同志社大学(京田辺キャンパス)京都府京田辺市
    • 年月日
      2013-09-18
  • [学会発表] 魚類ウロコ由来グアニン結晶板の光反射特性のFDTD解析2013

    • 著者名/発表者名
      宮下 惟人
    • 学会等名
      第74回応用物理学会秋季講演大会
    • 発表場所
      同志社大学(京田辺キャンパス)京都府京田辺市
    • 年月日
      2013-09-16

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公開日: 2015-06-25  

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