現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究課題の目標として、細胞物性に着目した細胞がん化の迅速かつ定量的なチェックが可能な「細胞分光技術」の開拓を行う.これまでの研究で磁気トルクの物理刺激に対する細胞骨格タンパク配向応答の複屈折計測による検出してきた.これらの研究結果を進展させ,生物発光を用いて非侵襲的に(細胞染色することなく)細胞内成分の挙動を計測することを目的としている.
これまでの経過として,まず結晶型マイクロ光源の効化の検証のためマクロ系でのグアニンマイクロ結晶による細胞への光照射増加効化の確認を行った.蛍光色素を持つ藻類細胞を用いた分光計測から結晶添加,さらに外部磁場印加による結晶光反射面の配向制御を行うことで蛍光強度の増加が観察された. 一方で,ルシフェリンルシフェラーゼ発光反応系をグアニン結晶表面上で励起させ,反射光を光源とする計を検討してきた.ルシフェラーゼを固定した磁化率異方性結晶を作製する実験も進めてきた.これまでにグアニンマイクロ結晶を含んだルシフェリン発光基質またはルシフェラーゼ触媒酵素のサスペンション自体を結晶化させる手法を行ってきたが,この手法では発光を確認できなかった。また,ガラス基盤,高分子フィルム上で低濃度のアガロースゲルを一度コート(自然乾燥)した後にルシフェラーゼを浸透させた試料では発光を確認することができたものの,微結晶自体への生物発光分子固定の実現ができていない状況にある.原因として,酵素活性が失われている可能性が大きい他,結晶化しているルシフェリン基質の溶解速度が非常に遅いために反応効率が悪いためと考えられる. 以上のことを踏まえ,抗原抗体反応による固定法を迅速に進める必要がある.これまでの試行実験からエポキシ基を持つ磁性微粒子をグアニン結晶の表面に固定化することに成功しており,これにビオチンアビジン抗原抗体反応でルシフェラーゼ酵素を固定する系を検討している.
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