研究課題/領域番号 |
13J05915
|
研究機関 | 首都大学東京 |
研究代表者 |
今野 智之 首都大学東京, 理工学研究科, 特別研究員(PD)
|
キーワード | 素粒子 / 加速器 / B中間子 / データ収集システム |
研究概要 |
Belle II実験は高エネルギー加速研究機構(KEK)に建設のSuper KEKB加速を用いた電子陽電子衝突型加速器実験で、2016年の実験開始を目指し、検出器の建設が進められている。前身のBelle実験からビーム衝突性能を40倍に増強し、さらに検出器をより高性能にすることにより、素粒子物理学における標準模型のより高精度の検証により標準模型を超える新物理事象探索を目指す。 本研究ではBelle II実験の物理データ取得開始に向けて、Belle II検出器を構成する8基の検出器から送られる得られるデータを効率的に処理し、物理解析に使用するデータフォーマットとして保存を行うBelle IIデータ収集システム(DAQ)の開発を進めている。報告者は検出器の管理を含むデータ収取システム全体を制御するDAQコントロールソフトウェアシステムの開発を行った。 Belle II DAQシステムのテストを行うため、12月末から2月までドイツDESY研究所行われたBelle II PXD/SVD検出器のビームテストに参加し、DAQシステムの性能評価およびテストビームのデータ収集を行った。いずれのテストでもデータ収集に成功し、DAQシステムが十分要求に耐えうるものであることが確認できた。これらの結果は2014年5月に行われる国際会議Real time conference 2014で報告を行う予定である。 DAQシステム開発と並行し、Belle II A-RICH検出器の開発ではA-RICH検出器に用いる高電圧電源のソフトウェア開発を担当し、ネットワークコントロールソフトウェアを作成した。A-RICH高電圧電源コントロールシステムをモデルとして、本実験開始に向けてBelle II検出器の電源制御システムの共通フレームワークの仕様の決定を2014年6月までの策定を行う。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Belle II実験データ収集システムの開発の目標は2013年末から2014年2月にかけでドイツ・DESY研究所で行われたBelle II PXD/SVD検出器ビームテストにおいて開発した収集システムを用いてテストビームのデータ収集を行うことであり、ビームテストを通じてBelle II実験本測定に用いる各サブシステムの調整が完了し、本測定にも十分耐えうるシステムの構築に成功した。
|
今後の研究の推進方策 |
2014年度はBelle II検出器の建設が本格化し、検出器を構成する各種サブ検出器の検出器の性能試験を建設と並行して行われる予定である。Belle II実験データ収集システムの開発ではBellte II検出器にデータ収集システムをインストールするともに、SuperKEKB加速器・Belle II各検出器を含むシステム全体を統一的に制御・監視するソフトウェアインフラストラクチャーの構築を行うことで本実験開始に向けたデータ収集体制の確立を目指す。
|