研究課題/領域番号 |
13J05967
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
花房 秀一 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 特別研究員PD
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キーワード | 地方三部会 / 貴族 / ノルマンディ / 中世フランス |
研究概要 |
本年度は、研究課題「13・14世紀フランス王権によるノルマンディ統治と貴族層の動向」の研究計画の1年目として、主に先行研究の調査と未慣行史料の収集、および研究会での研究成果の報告に努めた。 未刊行史料の収集については、3月8日から3月20日にかけて、フランスのルーアンに所在するセーヌ-マリティーム県文書館に赴いて、デジタルカメラを用いて史料の撮影を行った。主に撮影したのは、ノルマンディ地方の最高法廷であったエシキエの14世紀から15世紀の記録である。これらの史料は今まで本格的に調査されたことはなく、今後研究を進めるうえで有益な情報を提供してくれることが期待できるのである。 12月には、京都大学で開催された関西中世史研究会において、本研究計画の成果の一部を報告した。報告タイトルは「百年戦争前半期フランス王権によるノルマンディ支配と在地住民―14世紀中葉のノルマンディ地方産部会を中心に―」である。 本報告では、英仏百年戦争という混乱期において、フランス王権がどのように在地貴族層との関係を維持・発展させ、地域を統治していったのかを、ノルマンディ地方三部会を通して検討した。研究内容は、地方三部会における王権と在地貴族層の交渉や、出席した在地貴族層の構成、同三部会における決定等から、百年戦争という混乱期における王権による地方統制のあり方を検討した。同研究内容は、関西中世史研究会の報告原稿をもとに今年度中に起稿し、論文として投稿する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
セーヌ・マリティーム県文書館にて、これまで研究で用いられることがなかったエシキエの未刊行史料の収拾に成功し、今後の研究の発展が見込める。また三部会の研究についても一定の成果が研究会において報告できた。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は、前年度同様、14世紀におけるノルマンディ地方三部会での王権と在地貴族層の交渉過程を考察していく。前年度に引き続き、フランス国立文書館やセーヌ・マリティーム県文書館、またカルヴァドス県文書館に赴いて、裁判史料及び地方三部会の未刊行史料の収集を行う予定である。 現在のところ、当初の研究計画を大幅に変えなければならないような問題は発生していないので、引き続き計画通り研究を遂行していく予定である。
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