• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2013 年度 実績報告書

肺線維症モデルを用いた線維化の分子・細胞基盤の研究

研究課題

研究課題/領域番号 13J05983
研究機関東京大学

研究代表者

津久井 達哉  東京大学, 大学院医学系研究科, 特別研究員(DC1)

キーワード肺線維症 / 線維芽細胞 / 筋線維芽細胞 / オステオポンチン
研究概要

I型コラーゲンのレポーターマウスであるColla2-GFPマウスの肺を解析した所、肺胞壁に存在する線維芽細肥がGFPを高発現していた。このマウスにブレオマイシンを気道内投与して線維化を誘導した所、線維芽細胞が線維化領域でクラスターを形成しており、線維化部位の形成に関与していることが示唆された。
コラゲナーゼで肺細胞を分散し、フローサイトメトリーで解析した所、線維芽細胞の数の増加は見られなかった。線維芽細胞の増殖、細胞死はどちらもブレオマイシン投与後7日目をピークに増加しており、動的平衡により細胞数が一定に保たれている可能性が示唆された。BrdUの長期投与実験により、GFP陽性細胞クラスターの多くは増殖を経ていないことが分かり、線維化領域の形成に増殖以外の要素が重要なことが示された。
生理食塩水、もしくはブレオマイシンを投与した肺からFACSを用いて線維芽細胞を純化し、次世代シークエンサーを用いた網羅的な遺伝子発現解析を行った。遺伝子オントロジー解析により、細胞外基質の産生や構築を促す遺伝子が特に上昇していることが分かった。その中でも特にオステオポンチンの発現が著しく上昇していた。オステオポンチンを発現する線維芽細胞は大きさが増加し、発達した細胞内小器官を持っており、活性化状態にあることが示唆された。組織学上でオステオポンチン陽性の線維芽細胞は線維化領域の辺縁部に特徴的に存在しており、既存の活性化マーカーであるα-smooth muscle actinとも異なる局在を示していた。これらの結果は、オステオポンチンを発現する線維芽細胞が、線維化形成において未発見の役割を担っている可能性を示唆している。オステオポンチンを発現する線維芽細胞を解析することで、線維化のより詳細なプロセスが明らかになることが期待される。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

肺線維症における線維芽細胞の系譜追跡を行うためのトランスジェニックマウスはDNAコンストラクトの作製が完了し、受精卵にインジェクションしてゲノムへの挿入を確認した。現在タモキシフェン誘導性Creリコンビナーゼによる組み換えの条件を最適化しているところである。また、新たに得られた線維芽細胞の活性化マーカー・オステオポンチンに関しても系譜追跡を可能にするトランスジェニックマウスを作製中である。

今後の研究の推進方策

線維芽細胞の系譜追跡を行うためのトランスジェニックマウスを用いて、肺線維症における線維芽細胞活性化の糸譜を解析する。筋線維芽細胞のマーカーであるα-smooth muscle actinのレポーターマウスと新たな線維芽細胞活性化マーカーオステオポンチンのレポーターマウスを用い、肺に常在する線維芽細胞が肺線維症に果たす役割を解析する。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2014 2013

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Qualitative Rather than Quantitative Changes Are Hallmarks of Fibroblasts in Bleomycin-Induced Pulmonary Fibrosis2013

    • 著者名/発表者名
      Tatsuya Tsukui, Satoshi Ueha, Jun Abe, Shin-ichi Hashimoto, Shigeyuki Shichino, Takeshi Shimaoka, Francis H. W. Shand, Yasuka Arakawa, Kenshiro Oshima, Masahira Hattori, Yutaka
    • 雑誌名

      The American Journal of Pathology

      巻: 3 ページ: 758-773

    • DOI

      10.1016/j.ajpath.2013.06.005

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 慢性炎症に伴う線維化機構2013

    • 著者名/発表者名
      津久井達哉, 上羽悟史, 松島綱治
    • 雑誌名

      BIO Clinica

      巻: 11

  • [学会発表] Qualitative rather than quantitative changes are hallmarks of fibroblasts in bleomycin-induced pulmonary fibrosis2014

    • 著者名/発表者名
      Tatsuya Tsukui, Satoshi Ueha, Jun Abe, Shin-ichi Hashimoto, Shigeyuki Shichino, Takeshi Shimaoka, Yutaka Inagaki, Kouji Matsushima
    • 学会等名
      Keystone Symposia : Fibrosis
    • 発表場所
      Keystone, Colorado, USA
    • 年月日
      2014-03-24
  • [学会発表] Osteopontin identifies a novel profibrotic population of fibroblasts2013

    • 著者名/発表者名
      ABE Jun, SHICHINO Shigeyuki, HASHIMOTO Shin-ichi, SHIMAOKA Takeshi, TOMURA Michio, INAGAKI Yutaka, MATSUSHIMA Kouji
    • 学会等名
      日本免疫学会学術集会
    • 発表場所
      幕張メッセ
    • 年月日
      2013-12-13

URL: 

公開日: 2015-07-15  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi