研究実績の概要 |
前年度の研究により、I型コラーゲンのレポーターマウスであるCol-GFPマウスの肺に肺傷害を起こすと、GFP発現細胞において線維化関連遺伝子が発現上昇することが明らかとなった。一方で本研究の問題点は線維化の前後でGFP陽性集団の同一性が担保できないことであり、より精密な肺における間質系細胞の系統分けが必要である。
肺の間質系細胞の系統解析を行うため、ペリサイトマーカーNG2のレポーターマウス、NG2-DsRedマウスと導入した。Col-GFPマウスとNG2-DsRedマウスを交配し、F1マウスの肺間質系細胞におけるレポータータンパク発現を解析した。肺のlineage 陰性細胞におけるレポータータンパク発現細胞は、主にA: Col-GFP+ NG2-DsRed-, B: Col-GFP+ NG2-DsRed+, C: Col-GFP- NG2-DsRed+, の3集団に分けられた。それらの3集団におけるPDGFRaとCD146の発現を調べた所、A集団においてはおよそ80%がPDGFRa陽性、5%がCD146陽性細胞であり、B, C集団においてはそのほとんどがCD146陽性細胞であった。組織上において細気管支周囲の平滑筋細胞はCol-GFPとCD146を発現しており、血管周囲の平滑筋細胞はCol-GFP, NG2-DsRed, CD146を発現していた。Col-GFP- NG2-DsRed+陽性細胞は肺胞領域に存在していた。また、3次元超構造解析により、Col-GFP- NG2-DsRed+細胞がペリサイトの、Col-GFP+ NG2-DsRed- PDGFRa+細胞が線維芽細胞の特徴を持っていることが明らかとなった。これらの結果から、Col-GFP+ NG2-DsRed- PDGFRa+細胞は線維芽細胞、Col-GFP- NG2-DsRed+細胞はペリサイト、Col-GFP+ NG2-DsRed+細胞は血管周囲の平滑筋細胞であることが示唆された。
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