研究課題/領域番号 |
13J06055
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
櫻井 優 山口大学, 連合獣医学研究科, 特別研究員(DC2)
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キーワード | てんかん / カイニン酸 / 神経細胞死 / 神経新生 |
研究概要 |
てんかん発作は脳に様々な影響を与える。本研究では、てんかん発作により誘導される①神経細胞死の発生機序(視床神経核)、および②神経新生の意義(梨状葉)について、カイニン酸投与てんかんモデルを用いた解析を行った。 ①については、免疫組織学的に、グルタミン酸輸送体であるGLT-1の陽性像減弱を背内側核および結合核に捉えた。また、同部位にはIba-1に陽性を示すミクログリアの増数が認められた。Iba-1陽性ミクログリアは活性型の形態(細胞質の腫大ならびに突起の伸長)を示し、蛍光二重免疫染色でインターロイキン1βおよび誘導型一酸化窒素合成酵素に陽性を示した。以上から、カイニン酸投与てんかんモデルラットの視床(背内側核および結合核)に生じる神経細胞死にGLT-1発現減少が関連すること、および活性型ミクログリアから産生・放出されるインターロイキン1βおよび一酸化窒素がGLT-1の発現減少を誘導することが示唆された。 ②については、免疫組織学的に、Doublecortin (DCX)に陽性を示す未熟な神経細胞の増数を発作誘発後の梨状葉に捉えた。DCX陽性細胞は、対照群には認められない長く枝分かれする突起を有し、一部に錐体細胞様の形態を示すものが認められた。蛍光二重免疫染色で、DCX陽性細胞はBrdUおよびNeuronalNucleiに陽性を示した。また、Neurofilament 200 kDa、SynaptophysinおよびPostsynaptic density protein95 (PSD-95)に対する強い陽性像が梨状葉全体に認められた。以上より、カイニン酸投与てんかんモデルラットの梨状葉において、発作誘発性の異常な神経新生およびシナプスの再編成が生じていると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
一部手法に変更はあるが、概ね当初の計画通り研究は進行している。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、てんかん発作後に梨状葉に形成された神経細胞がシナプスを形成するかという点について解析を進める。主に、電子顕微鏡を用いた超微形態学的解析を実施するとともに、ウエスタンブロット法によりシナプスに関連するタンパク質の定量化を進める予定である。
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