2014年度には、学会報告および学会誌(査読有)への論文投稿を行った。 具体的には、日本国際政治学会2014年度研究大会(2014年11月15日、於福岡国際会議場)にて、「米国の海外基地政策としての安保改定―ナッシュ・レポートをめぐる米国政府内の検討」と題する報告を行った。また、同題論文の『国際政治』2015年度発行号への掲載が決定した。 上の報告・論文は、これまで日米二国間の問題として論じられてきた安保改定を、米国の冷戦戦略の中に広く位置づけ直した。すなわち、アイゼンハワー政権の安全保障戦略が、海外基地群の存在を前提としていたため、同政権が、同盟国との間の基地問題を包括的に解決するという課題を抱えていたこと、1960年の安保改定が、米国の包括的な海外基地政策の一環であったことを明らかにした。その上で、スプートニク・ショックが、米軍基地を受け入れた同盟国に、米ソ核戦争に巻き込まれる可能性への恐怖をもたらしたことが、安保改定の条件をめぐって米国が日本に譲歩する余地を生み出したことを指摘した。 その他にも、『国際安全保障』2015年度発行号に、研究ノート「極東米軍再編と海兵隊の沖縄移転」の掲載が決定した。また、屋良朝博編著『海兵隊と米軍再編―日本駐留の歴史的展開』(旬報社、2015年刊行予定)に、同題論文の収録が決定している。さらに、同論文の内容が2015年5月14日付沖縄タイムス1・2面で紹介された。 上の論文では、以下の新事実を解明した。すなわち、①1954年のインドシナ独立と第一次台湾海峡危機ぼっ発を契機に、日本本土に駐留する海兵隊の沖縄移転が検討され始めたこと、②沖縄での新基地建設に米軍内部での反対が強く、グアム・フィリピン・韓国への移転の可能性もあったこと、③1957年のジラード事件が引き金となって日本が米国に陸上兵力の全撤退を要請したため、海兵隊が沖縄に移転したことである。
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