平成26年度は、ギャル・ギャル男を中心としたユース・サブカルチャーズ「イベサー」のメンバーとその引退者、彼らをとりまくメディアに対する調査・研究を行った。 研究内容は以下の2点に集約される。1点目はユース・サブカルチャーズの普遍的な要素とその背景の社会に関して考察するもの。2点目は彼らを取り巻く近年の社会環境の変化に伴う彼ら自身の変化を考察するものである。 1点目では、彼らは勤勉さと悪徳を併せ持った価値観及びそれに結びついたサブカルチャー資本を持ち、それを一般経済社会における社会的な成功に結びつく資本として捉え、実際に社会に出た後に活用し続けることを明らかにした。またこの知見を通じ、ある種のプロテスタント的美徳に加え、悪徳も現在の資本主義社会に分かちがたく結びついているということを考察し、以上の知見をそれぞれInternational Sociological Association、European Association for Japanese Studiesにて発表した。 2点目では、近年発達したソーシャルネットワーキングサービスは、彼らにとって監視と、不良性が永続的に記録され拡散される可能性をもたらすものとして認識されており、将来に繋がるリスクのある不良性のある行動を忌避させることに繋がっていること。また、ポジティブな情報発信を行うことが、将来の成功に結びつくと捉えるようになっていることを明らかにした。そして彼らの活動と楽しみを、現実の空間に集まり不良行為を楽しむという「ギャザング」から、多くの人間に評価される楽しそうでポジティブなリアリティをシェアするという「シェアリング」へと変化させたということを明らかにし、The Japanese Studies Association in Southeast Asiaにてその知見を発表した。
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